かつて岩根社長が法人登記上の自宅にしていた「岩根家住宅」は、文化庁の登録有形文化財に指定されている
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石垣と高い壁に囲まれた日本家屋。上の写真は大阪府富田林(とんだばやし)市の閑静な住宅街にある豪邸だ。そして、その表札には、「岩根茂樹」と書かれている。

「ここは関西電力社長である岩根茂樹(66)の実家です。土地の広さは360坪以上。岩根家は酒造業で財を成した地元の名家です。この一帯には岩根家の土地がいくつもありますよ」(近所住民)

関西電力の法人登記簿によれば、’16年5月まで岩根氏はこの豪邸を自宅としていた。その後、岩根氏は親族から市内の別の土地を相続して転居している。

その一軒家も宅地は約90坪。落ち着いた外装の重厚な邸宅だ。

岩根氏をはじめ、関西電力の八木誠会長(69)、今年6月に退任したばかりの豊松秀己元副社長(65)もそれぞれ立派な一軒家を所有している。

この3人を筆頭に、20人の関電幹部が、高浜原発のある福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(今年3月に90歳で死去)から、’11〜’18年にかけて現金やスーツ、商品券、金貨、金杯、小判など計3億2000万円分の金品を受け取っていた。

10月2日の記者会見で公表されたその内訳は、岩根氏は150万円分の金品、八木氏は859万円分、豊松氏は1億1057万円分にもおよんだ。彼らの豪邸は還流した原発マネーによる「キャッシュバック」御殿でもあったのだ。

関電幹部にカネをバラまいていた森山氏とは、いったい何者なのか。

森山氏は’69年に高浜町役場に入庁。収入役などを経て、’77年から10年間にわたって助役を務めている。

「高浜原発の1号機の運転が開始されたのが’74年です。このときから森山氏は関電に入り込んでいきました。’85年に3号機、4号機が滞(とどこお)りなく増設できたのも、反対派を抑え込んだ森山氏の剛腕によるところが大きい」(地元電力事業関係者)

高浜町の町議である渡邊孝氏が言う。

「3、4号機の増設にあたって関電は高浜町に寄付金を出しているのですが、未だにいくら支払われたのかわかっていません。きわめて不明瞭な会計で、監査請求した団体もありましたが、却下されてしまいました」

そうした高浜町の原発マネーの取り仕切りをしていたのが、森山氏だった。

◆責任はとらない

森山氏は’87年に助役を退任すると、町の教育委員長を務める一方で、関電の子会社である関電プラントの顧問に就任し、亡くなる直前まで報酬を得ていた。さらに森山氏は関電の原発関連業務を請け負う建築会社、メンテナンス会社、警備会社のそれぞれ顧問、相談役、取締役も務めていた。つまり、発注側と受注側の双方で役職に就(つ)いていたのである。

「森山氏が町政を実質的に牛耳っていたので、関電としては彼を押さえておけば、問題なく高浜町の電力事業を動かせたんです。高浜原発の増設のときは、本来ならば関電は町民のみなさんに説明会を何度も開き、お願いに回らなければならないはずですが、森山氏の存在もあって、その必要はほとんどなかった。地元では森山氏は『関電の弱みを握っていた』とまことしやかに言われていました」(前出・渡邊氏)

また高浜町の別の電力事業関係者はこう証言する。

「森山氏は町内で影響力のある人権団体を抑えることができる存在だと言われています。それが関電にとってありがたかった。9月27日の関電の記者会見で、岩根社長は『(森山氏から)人権教育を受けさせてもらったことは覚えています』と言っていました。あの発言は意味深でしたね」

高浜町の絶対的実力者だった森山氏と歴代の関電の原子力事業担当の幹部は、いわば「癒着」の関係にあったのだ。現在の経営陣である岩根氏は原子力保全改革推進室長、八木氏と豊松氏は原子力事業本部長を務めた経験がある。

「関電は’05年に原子力事業本部を大阪本店から福井県に移転しています。’06年に八木氏が同本部長代理に就任し、それ以降、歴代の原子力事業の幹部と森山氏の関係は、さらに深くなったと言われています。森山氏を怒らせて、高浜町の原発事業に支障が出れば、自らの出世にも悪影響が出る。彼らは町長でもない元助役の森山氏に呼び出されては、『行かなきゃいけない』と言って宴席に出向いていました」(関西電力関係者)

岩根氏らは記者会見で金品を受け取った理由を「(森山氏に)恫喝(どうかつ)され、返却をあきらめざるをえなかった」と言い訳した挙げ句、まるで”被害者”のような顔をして辞任を否定した。(続きはソース)

10/11(金) 12:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191011-00000005-friday-soci