指定暴力団山口組と神戸山口組の分裂抗争激化を背景に、両組織の本部事務所が使用制限の仮命令を受けたことを踏まえ、神戸山口組が神戸市内にある2次団体の組事務所に本部機能を移転させる可能性があることが15日、捜査関係者への取材で分かった。警察当局が情報収集を進めている。

 今月10日、神戸山口組系組員2人が山口組系幹部に射殺される事件が発生。4月以降、抗争事件が相次いだことから、警察当局は暴力団対策法に基づき、山口組総本部(同市灘区)や神戸山口組の本部事務所(同市中央区)など計20カ所について使用制限の仮命令を出した。

 捜査関係者によると、制限解除の見通しが立っていないことから、神戸山口組側は同市西区内の2次団体の組事務所に本部機能を移し、現地で幹部会合を開くことなどを検討している。

 ■対立組織は住民イベント中止か

 警察当局は対立組織の山口組側の動向についても引き続き警戒を強化している。山口組は毎年10月末のハロウィーンに合わせて地域の地元住民らに総本部の一部を開放し、キャラクターにふんした組員が子供らに菓子を配るなど、“融和策”で地域に接してきたが、今年は中止になる可能性が高いという。

 抗争事件は、兵庫県警が関係機関と協力して地元住民にイベントの危険性を訴え、神戸市教育委員会が近隣の児童らに参加しないよう指導するさなかに相次いだ。

 捜査関係者によると、総本部の使用制限が解かれる見通しは立っていないことなどから、今年のイベントは実施できないとみられる。

 総本部近くに住む40代の主婦は「これまで組の車や組員の人を日常的に見かけた。今回の使用制限で少しは安心して生活できるが、ほかの場所で事件を起こさないかと考えると心配は尽きない」と話している。

ソース 産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191015-00000642-san-soci