https://www.bbc.com/japanese/50084510

イギリスとEU、新しいブレグジット案に合意と 英下院の承認不透明
2019/10/17


イギリス政府と欧州連合(EU)は17日午前、ブレグジット(イギリスのEU離脱)条件を定めた新しい離脱協定案に合意したと明らかにした。新協定の施行には欧州議会と英議会の承認が必要となるが、イギリスでは複数の政党が反対を表明している。英下院は同日、19日に緊急審議を開き、新協定案を採決すると決定した。

ボリス・ジョンソン英首相と欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、ブリュッセルで共同発表に臨んだ。ジョンソン首相は、新協定によってイギリスが北アイルランドも含めて「完全に、かつまとまって」EUを離脱できるし、11月1日以降に欧州との新しい将来を模索していけると強調し、下院議員たちに支持を呼びかけた。ユンケル委員長は、アイルランド島の「平和と安定」を守り「単一市場を守る」、「公平でバランスの取れた」協定だと評価。その上で、「合意できたのは嬉しいが、ブレグジットは残念だ」と述べた。両首脳は記者団の質問は受け付けなかった。

EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は、ジョンソン氏が自分やユンケル委員長に対して、「下院で必要な過半数を説得できると確信している」と述べたことを明らかにした。

英首相官邸筋によると、ジョンソン氏は10月31日の離脱期限延長の要請を拒否するよう、EU加盟各国の政府に呼びかける方針という。ユンケル委員長は記者団に対して、たとえ英下院が19日に協定案を否決したとしても、離脱期限の延長は認めないと言明した。

共同発表に先立ちボジョンソン英首相は、「決定権を取り戻す素晴らしい新協定をまとめた」とツイートしていた。
しかし、焦点となる北アイルランドの扱いをめぐり、北アイルランドの民主統一党(DUP)は「現状」では支持できないと表明している。ジョンソン首相率いる与党・保守党は下院で単独過半数を得ていないため、2017年以来、保守党に閣外協力しているDUP(10議席)の支持がなければ、政府の協定案が下院を通過するのかは不透明だ。

新しい協定案の大半はテリーザ・メイ前首相がまとめたものと同じ内容だが、北アイルランドの位置づけや北アイルランド議会の「同意権」などが新しくなっている。
最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、新協定案はテリーザ・メイ前首相がまとめたものより「さらにひどい」と批判し、下院は「これを拒絶すべきだ」と呼びかけた。

BBCのノーマン・スミス政治副編集長によると、労働党はこの新協定案について、国民投票にかけるのでなければ賛成しない方向で固まりつつある。しかし、ジョンソン首相は国民投票で確実に勝てる見通しがなければ、それに応じないつもりだという。

バックストップは削除
(リンク先に続きあり)

ブレグジット離脱協定案に合意したと発表するジョンソン英首相(左)とユンケル欧州委員会委員長(17日、ブリュッセル)
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/ED91/production/_109271806_a39d4608-235f-4eff-bf39-71c32b102a42.jpg