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 道警の警察官らが7月、安倍晋三首相の参院選街頭演説中、批判の声を上げた市民を排除した問題を考える集会が22日、札幌市で開かれ、少なくとも9人が排除や行動制限を受けたことが報告された。
3カ月以上たっても道警は事実関係や排除行為の法的根拠を説明していない。専門家は「批判が収まるのを待っているのでは」と指摘。
一連の対応への批判は道警内部からも上がる。

 集会は弁護士らでつくる実行委主催。定員140人の会場は立ち見の人であふれ、排除や制止を受けた5人が当時の様子を語った。

 札幌市厚別区の佐々木勝義さん(77)は7月15日、首相の演説が始まる前のJR新札幌駅近くで、政権批判のプラカードを持っていたところ、「警察官4人に『こっちに来て』と促され、10メートルほど移動させられた」と証言。
結局、プラカードを掲げられず「道警は今の政治体制への批判に過敏になっている」と話した。

 JR札幌駅で首相演説中に「安倍辞めろ」と叫んだ大杉雅栄さん(31)と一緒に警察官に腕や肩をつかまれ、数十メートル移動させられた女性(27)は「政治家へのヤジは当たり前。違法じゃない」と強調。
政策批判のプラカードを掲げようとして、警察官に囲まれた60代女性は「怖かった」と話した。実行委によると、被害を受けた市民は少なくとも9人に上る。

 警察官職務執行法では、警察官が市民を制止できるのは、生命や身体に危害が及ぶ恐れがあり、急を要する場合に限られる。
道内の弁護士団体などは「一連の行為は法的根拠がなく、表現の自由の侵害や特別公務員職権乱用罪に当たる」と、抗議の声を上げてきた。

 ただ道警はこの3カ月間、排除行為を「トラブル防止のための措置」とし、札幌地検に告発状が出されたことを理由に説明を避ける。
山岸直人本部長はこれまでの道議会で「職務遂行の中立性に疑念が抱かれたことを真摯(しんし)に受け止める」としたが、詳細は「回答を控える」と繰り返した。

 道警警備部は21日も、北海道新聞の取材に対し、排除の事実関係や法的根拠について「確認中で説明できる状況にない」と述べ、今後の説明時期も「示せない」とした。
同志社大の太田肇教授(組織論)は「強大な権限を持つ警察は市民の信頼があってこその組織だ。全く説明しない道警の対応は非常に疑問だ。
世間の関心が薄れるのを待っているのではないか」と話す。

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【記事元:北海道新聞】⇒https://www.hokkaido-np.co.jp/article/357109