インドのマディヤ・プラデシュ森林局が、最重要指名手配犯に指名されていた密猟者であるヤレン容疑者(30歳)を逮捕したと発表しました。当局の話によると、ヤレン容疑者には2013年に絶滅危惧種であるナマケグマ2頭を殺してそのペニスを食べた容疑がかかっているほか、同じく絶滅が危ぶまれている野生のトラの密猟にも関与しているとのことです。

ナマケグマとは、インドやネパールなどに生息する体長140〜190cmのクマで、その数の少なさから絶滅危惧種に指定されています。インドでは法律で保護されており、自己防衛などやむを得ない場合を除き、原則として捕殺したり、その部位を取引したりすることが禁止されています。しかし、一部の地域では胆嚢が癌・慢性的な痛み・ぜんそく・副鼻腔炎に効能があると信じられているほか、男らしさを高める効果もあるとしてひそかに取引されているとのこと。また、ナマケグマのペニスを媚薬として用いている地域もあり、密猟者が後を絶ちません。

今回逮捕されたヤレン容疑者もその1人で、2013年にペニスと胆嚢が切り取られたナマケグマの死骸が発見された際には、叔父のバースルという男とともに警察に逮捕されています。その後1年間刑務所に収監されたヤレン容疑者は、釈放された直後に警察の監視を逃れ、行方をくらましました。逃亡中のヤレン容疑者は複数の偽造身分証を使い分け、ヤレンの他にはルザレンやジャスラットという名前を持っていたとのこと。また、複数の村の首長を懐柔して特殊な「物々交換システム」を構築していたため足がつきにくく、捜査当局は十数回以上にもわたりヤレン容疑者の逮捕を試みてきましたが、いずれも失敗に終わっていました。

相次ぐナマケグマの密猟を背景に、マディヤ・プラデシュ州で野生動物保護対策特別チーム(STF-wildlife)が結成されて以来、6年間にわたり密猟を続けてきたヤレン容疑者ですが、最後はグジャラート州にある小さな集落に追い詰められ、逮捕されるに至りました。

インドの大手日刊紙Times of Indiaの報道によると、ヤレン容疑者は取り調べに対し「クマの『秘部』は最高の媚薬だ。だから、それを食べるためにこれまでに何頭もクマを殺してきた」と話し、容疑を認めているとのことです。さらに、「15歳で密猟者になり、それ以来数頭のトラやナマケグマ、数百頭のクジャクとイノシシを殺してきた」とも語っており、まだまだ余罪はあると見られています。

ヤレン容疑者の犯歴の中でも特に重要なのが、野生生息数が世界最多のインドにさえ2967頭しかいないという、野生のトラの密猟です。2012年にペンチ・トラ保護区で暮らしていた当時、「T13」と呼ばれ親しまれていたメスのトラは、2012年2月28日に監視カメラに捉えられて以降行方不明になっていました。その後、T13は2013年1月12日に保護区から1500km離れたネパールで毛皮になった状態で発見されました。ヤレン容疑者は、このT13の密猟容疑も認めているとのことです。

この犯罪に対するインドの人々の怒りはすさまじく、ザ・タイムズ・オブ・インディアによると、T13の毛皮が発見されたというニュースが流れた時にはインド全土が激怒し、インターポールやネパール警察との共同捜査による、国境を越えた犯人探しが展開されたとのこと。

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https://news.livedoor.com/lite/article_detail/17279760/
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