猛威をふるった台風19号では、亡くなった人が全国で80人以上にのぼった。台風の猛烈化はここ数年で著しいが、これは世界的な傾向だと、気象予報士の白戸京子さんが言う。

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「実は2019年は、大雨で家を失った人が、紛争による避難民より多いんです。スイスのジュネーブにある『国内避難民監視センター』の報告によると、今年1月から半年間で、武力衝突により難民となった人がシリアやコンゴなどで380万人。

一方、天災で家を失った人は全世界で700万人近く。そのうち400万人以上がサイクロンによるものです。

洪水被害も多く、アマゾン川やラプラタ川流域で39万人ほどが避難を余儀なくされたほか、イランでは国土の9割近く、2000以上の町が被害を受け、50万人以上が家を失いました」

天災が国際紛争より悲惨な結果をもたらしている。このデータは2019年上半期のものだが、7月以降も極端な気象現象が各地で報告されており、水害による被害者数は増加の一途だ。

「問題なのは、世界気象機関(WMO)の加盟国のうち、きちんとした河川情報や洪水予報を提供できている国が38%しかないことです。

陸地に降った雨の流れや地下水、水循環に関するデータがあれば、洪水対策も可能ですが、こうしたデータが公開されてない国が多いんです。データがなければ、洪水対策も予報もできません」(白戸さん)

日本では、国交省や産総研のサイトで地下水マップなどが見られるが、これは世界的に見れば、かなり恵まれたほうといえる。

その国交省は、最近、治水計画を気候変動による影響を考慮した対策に転換していくと発表した。

「すでに豪雨の発生件数が、30年前の1.4倍に増えており、これが21世紀末になると2倍以上に増加するとされています。国際機関IPCCの試算によると、気温も、今世紀末までに最悪4.8度上昇する可能性があります。

平均気温が1度上がると、猛暑日は1.8倍に増えるとの気象庁の研究がありますが、今回のシナリオのひとつは気温が2度上昇するというもの。全国平均で雨量が10%以上増える可能性があります」(白戸さん)

災害対策に関して、日本はきちんとした体制が組まれているが、予断は危険だ。今後も、少しでも被害が軽減されるよう、自治体の努力と住民の警戒が必要となる。

10/25(金) 6:55
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