これまでに女性天皇は8人10代存在するが、全員が男系の女性皇族(父方の祖先をたどると天皇にいきつく)で、
生涯独身か、結婚し子供がいたとしても、夫は天皇か皇太子で、夫の死後に女帝として即位している
(つまり女帝の子供は男系の皇族)。即位してから結婚(再婚)したり子供を産んだ例はない。

つまり現在の皇室で、女系天皇(女系による皇位継承)を認めずに、男系の女性天皇を認めた場合、
天皇になる可能性のある男系の女性皇族(例えば愛子内親王)には次のうちのどれかを了解し、
厳守してもらう必要がある。

1.結婚せずに生涯独身でいる
2.一般人男性と結婚した場合、子供を作らない
3.一般人男性と結婚した場合、子供ができても、その子供に皇位継承権を与えない
4.結婚相手を旧宮家の男系男子に限定する(その場合は子供ができても、
男系で天皇につながるので、皇位継承可)

1〜3の場合は、女性天皇は完全にワンポイントリリーフで、時間稼ぎにすぎず、
「将来にわたって、男系による皇位継承を安定させる」という現在の皇室がかかえる
問題の解決にはならない。

さらに、1〜4いずれの場合でも、かつて女性天皇が存在した古代や江戸時代ならともかく、
現代社会において、このような「縛り」を女性皇族に押し付けることが現実的に可能なのか、
倫理的に問題はないのか、大いに疑問だ。さらに3の場合は、実際に子供ができたら、
なし崩し的にその子供に皇位継承権を与え、女系天皇が容認される恐れがある。
これは絶対に避けなければならない。

要するに男系による皇位継承という原則を維持した上で、女性天皇を認めると、
現代の倫理観、政治・社会情勢から、様々な問題が発生する可能性が高く、
なによりも、(上記の4の場合を除き)男系による安定した皇位継承という問題の解決には
なんの役にも立たない。それならば最初から女性天皇と女系天皇は両方とも認めないほうが賢明で、
その代わりに、旧宮家の皇籍復帰や、旧宮家からの養子を迎えることを検討したほうが
より現実的ということになる。