※夜の政治

共産党は5日の第8回中央委員会総会で、綱領改定案をまとめた。名指しを避けながらも中国やロシアを念頭に「いくつかの大国で強まる大国主義・覇権主義は世界の平和と進歩への逆流」と批判した。志位和夫委員長は同総会を通じ、中国への批判色を強めた。同党がめざす野党連合政権に向け、外交などで現実路線を印象づける狙いだ。

同総会は4日から2日間にわたって開かれた。改定案は来年1月の党大会で正式に決まる。綱領の見直しは2004年以来16年ぶりとなる。

志位氏は5日の記者会見で、中国での人権侵害などの動きに言及し「社会主義に対するマイナスイメージが共産党の前進の障害になっている」と述べた。綱領の改定は「共産党への誤解や偏見を解きほぐすのに大きな力を発揮するのは間違いない」と説明した。

今回の改定案は主に世界情勢に関する認識を見直す。いまの綱領は「資本主義から離脱したいくつかの国々で『市場経済を通じて社会主義へ』という新しい探究が開始」と明記し、中国を評価している。改定案ではこの記述を削除する。

志位氏は4日の総会で、中国が周辺海域で実効支配を強化していることや香港での反政府抗議活動を抑圧していることなどを挙げて「どれも社会主義の原則や理念と両立しない」と語った。


総会では活動方針案もとりまとめ、来年1月の党大会で正式決定する。党創立100年に当たる22年までに野党連合政権の実現を目指すことを打ち出した。日米安全保障条約の破棄や自衛隊の解消などについては「政権に持ち込むことはしない」としている。原発ゼロや温暖化ガスの排出ゼロなども盛り込んだ。

共産党は野党連合政権に向けた協議を各党に呼び掛けている。立憲民主、国民民主両党などは応じていない。両党の支持者には共産党との連携に批判的な声も根強い。神戸女学院大の石川康宏教授は「今回の改定案は野党共闘と野党連合政権の実現に本腰を入れる構えをつくるものになっている」と指摘している。


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日本経済新聞
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