https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191106/k10012165851000.html


米議会 中国の急速なAI開発に強い警戒感
2019年11月6日 8時23分

アメリカ議会のAI=人工知能に関する諮問機関が、報告書を公表し、中国による急速なAI開発に強い警戒感を示したうえで、アメリカが官民一体となってAIの開発と人材育成を加速させる必要性を強調しました。

アメリカ議会が設置した超党派の諮問機関、「AIに関する安全保障委員会」は、中間報告書を公表しました。

報告書は、「中国が2030年までにAIで世界のリーダーになるという宣言は軍事的・経済的にアメリカに挑むものだ」としたうえで、中国による急速なAI開発や国民監視のAI利用に強い懸念を示しました。

そしてアメリカが主導権を維持するためには、研究開発費の増額や人材育成の強化などを行い、官民一体となってAI開発を加速させる必要性があると強調しました。

一方、報告書は、アメリカと中国の企業や研究機関では、AI開発で双方が緊密な協力関係にあると指摘したうえで、関係を失えば、人材確保や経済的な面で損害が生じるおそれがあるとして安全保障とビジネスのバランスの難しさを課題として挙げています。

中間報告書をまとめた元グーグルのCEO、シュミット委員長は、講演で、「最終報告書では中国との競争と協力の間でどのような選択肢が望ましいか提言する」と述べ、1年4か月後に公表する予定の最終報告書で具体的な提言を行う考えを示しました。

アメリカでは、安全保障上の懸念を理由にファーウェイなど一部の中国企業の排除が進められていますが、報告書には中国企業を排除する不利益も記されていて、トランプ政権の政策にどの程度影響を与えるのか注目されます。