双子や3つ子など「多胎児」を育てる親を対象に支援団体がネット上でアンケートを行ったところ、1500人を超える回答があり、「育児中にふさぎ込んだり、子どもにネガティブな感情を持ったことがある」と答えた人が9割以上に上ったことが分かりました。

アンケートを行ったのは「多胎育児のサポートを考える会」の市倉加寿代さんです。

市倉さんは双子を育てる友人の様子を見て負担の大きさを伝えたいと考え、ことし9月から10月にかけてインターネットを通じて多胎児を育てている人たちにアンケートへの協力を呼びかけたところ、1591人から回答がありました。

この中では、「気持ちがふさぎ込んだり、落ち込んだり、子どもにネガティブな感情を持ったことがある」と答えた人が93%に上りました。

また、育児中に「つらい」と感じた場面について複数回答で聞いたところ、「外出・移動が困難」が89%、「自分の睡眠不足・体調不良」が77%と多くの人がさまざまな困難を感じていることが分かりました。

記者会見で市倉さんは「多胎家庭の大変さは、家族や友人の頑張りだけで解決できる問題ではなく、行政のサポートが必要です」と訴えました。

市倉さんたちは、多胎児の親の負担を軽減するため、保育園に入園しやすくすることや、一時保育サービスの充実、それに複数の子どもが乗れる大型のベビーカーでバスを利用する時に畳まずに乗車できるようにすることなどを行政などに求めることにしています。多

胎児をめぐっては、愛知県の3つ子の母親が次男を死亡させた事件をきっかけに育児の過酷さに注目が集まり、支援を求める声が上がっています。

■自由記述欄には親たちの悲痛な声

市倉さんが行ったアンケートの自由記述欄は、多胎児を育てる親たちの悲痛な声であふれていました。

市倉さんによりますと、アンケートに答えた人たちの多くは夜の9時以降に回答を寄せていて、中には深夜の2時や3時だったという人もいたということです。

自由記述欄には「食事も1日1回おにぎりだけ、という日が本当にあります。トイレも我慢し、大人なのに漏らしてしまったことさえあります」、
「双方の実家が遠方のために歯医者に行くことができず、神経まで達し抜歯することに」、
「ある日、耳が痛すぎて、それでも病院に2人を連れて行くのをちゅうちょしていましたが、いよいよ聞こえづらくなり意を決して受診すると鼓膜が破れていました」といった壮絶な状況が記されています。

また、「声を上げる気力も暇もない。問題に気づくのは、死亡事故や事件が起きた時。多胎育児をしていれば、誰にも起こりうる、みんなぎりぎりのところで耐えている」、
「毎日2〜3時間睡眠で1日中泣き声がする中から逃れられない状況がどれだけ精神を崩壊させるか想像できますか?」といったぎりぎりまで追い詰められた心境もつづられています。

中には「毎日が戦争。気が狂うし死にたくなる。虐待する気持ちも分かってしまう」、
「ノイローゼ手前にまでなり、子どもを投げてしまったこともある」といった深刻な内容の記述もありました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191107/K10012168171_1911071813_1911071843_01_02.jpg

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191107/k10012168171000.html