2019年11月09日17時50分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019110900397

インド最高裁は9日、多数派ヒンズー教徒と少数派イスラム教徒の対立激化の一因となってきた
北部アヨディヤの宗教施設の土地をめぐる訴訟で、イスラム教徒に代わりの土地を与えるよう命じ、
ヒンズー教徒側勝訴の判決を言い渡した。
ヒンズー至上主義を掲げるモディ首相は2014年の総選挙で、聖地とされるこの土地にヒンズー教寺院を
建設すると公約していた。

イスラム教徒の反発は必至だ。02年にはこの問題に関連し、ヒンズー教徒の乗った列車が放火され、
55人が死亡する事件が起き、全国的な対立に発展した。
今回も衝突が懸念されている。

問題の土地は、ヒンズー教のラーマ神の生誕地とされる。
16世紀に当時のムガール帝国の下で建てられたモスク(イスラム礼拝所)が1992年に
ヒンズー過激派に破壊されたことをきっかけにインド各地で暴動が起き、約2000人が死亡した。
最高裁は判決で「(92年の)モスクの破壊は違法だ」と批判。
一方、土地の所有権はヒンズー教徒側にあると認定し、土地は政府が新たに寺院を建てるための
信託機関に譲渡されると判断した。
イスラム教徒にはモスク建設のための代替地が与えられる。
モディ首相はツイッターに「意見の相違について表明する十分な時間と機会が与えられた。
 判決は国民の司法への信頼をさらに高めるだろう」と投稿し、判決を評価した。
一方で「平和的共存を目指すインド人固有」の姿勢を示し、平静を保つよう国民に呼び掛けた。
首都ニューデリーなどの公立学校は9日、混乱に巻き込まれることを避けるため休校となった。

インド北部アヨディヤのモスク(イスラム礼拝所)破壊から26年を迎え、抗議デモを行うイスラム教徒ら
https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/201911/20191109at33S_p.jpg