【英総選挙2019】 ロシアが英政治に介入? 公表されない議会調査のなぞ
2019年11月12日
ゴードン・コレラ、BBC安全保障担当編集委員
ロシア政府がイギリス国内で諜報活動を展開し、英政治に介入しようとしているという内容の英議会調査報告書について、首相官邸が12月12日の総選挙を視野に公表を遅らせているという批判が高まっている。
英議会・情報安全保障委員会(ISC)による調査報告書について、サジド・ジャヴィド財務相は、公表までにかかっている時間は「まったく通常」のものだと批判に反論している。
しかし、10日付の日曜紙サンデー・タイムズが、報告書ではロシア人実業家9人が与党・保守党に献金したと書かれていると報道。これを受けて、政府に対する批判と公表圧力が高まっている。
イギリス政治への介入は
では、問題のISC報告書とはどういうものなのか。
ごく少数の人しか知らないし、その人たちは発言していないというのが本当のところだ。しかし、どういう内容なのか察することはできる。
ロシアによる広範な活動を検討する報告書だというのは分かっている。活動には伝統的な諜報や妨害工作も含まれ、イギリス国内の活動に限らない。
なにより、イギリス政治への介入について報告書がどう言及しているのかが、大いに注目されている。アメリカのロバート・ムラー特別検察官による捜査報告書は、ロシアが2016年米大統領選に幅広く介入した活動内容について詳述していた。ロシアが特にソーシャルメディアを使い、内部文書を漏洩(ろうえい)することで、選挙結果に影響を与えようとした様子を、ムラー報告書は説明している。
これまでのところ、アメリカに対するものと同レベルのサイバー作戦がイギリスに対しても展開されたという証拠は、イギリスでは得られていない。ロシアによる取り組みの証拠が報告書に含まれている可能性はあるが、選挙やブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を決めた国民投票に対する介入が「成功」した証拠はないと、複数の閣僚がすでに発言している(もっとも、「成功」が何を意味するか決めるのは難しく、異論のあるところかもしれない)。
とはいうものの、パディー・マクギネス元国家安全保障問題副顧問は今月初めにBBCに対して、ロシアなどが悪用できる国内の脆弱性(ぜいじゃくせい)への対策が不十分だと話している。現在はオックスフォード大学インターネット研究所のテクノロジー選挙委員会に参加するマクギネス氏は、制度の改善が必要だと主張し、たとえば政党の情報収集と活用方法について今以上に透明性が必要だと述べた。
保守党への献金
(リンク先に続きあり)
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/14B1A/production/_109526748_putin.jpg