思わぬ難題が浮上した。2020年東京五輪でマラソンの札幌移転問題は開催日時やコースなど課題が山積みだが、一部の関係者から「あの看板は大丈夫?」という懸念の声が上がっている。札幌市民はもちろん、すすきのを知る者にとっておなじみの「ニッカウヰスキー」の看板だ。五輪開催期間中は、あらゆる広告物が禁止されるのは有名な話。設置場所がマラソンコースになることが濃厚だけに、その行方が注目されているのだ。

 ウイスキーをたしなむヒゲおじさん。トランプのキングの絵札を思わせる風貌は一度見たら忘れられない。この有名な「ニッカウヰスキー」の看板はすすきの交差点に設置されている。旅行者なら必ず一度は目にしているだろう。

 この看板が“ピンチ”というのだ。現在、札幌のマラソンコースは大通公園、札幌ドーム、円山公園を発着にする案が浮上しているが、すすきの交差点の付近を通る可能性は極めて高い。そうなると、ランナーの背後に看板が映り込むことは免れない。今さら言うまでもないが、五輪会場においてはすべての営利・商業目的の看板が禁止。選手のウエアや用具にも、いかなる形の広告や宣伝を表示してはいけない。それだけにヒゲおじさんの看板を懸念する声が上がっており、実際に日本陸上競技連盟の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)も「あの看板、なんか引っ掛かりそうだけど、大丈夫かな?」と口にしていたほどだ。

 五輪憲章には「クリーン・ベニュー」(きれいな会場)というルールが存在し、規則50(広告等)第1項には次のように記されている。

 「スタジアム、競技会場、またはその他の競技グラウンドでは商業目的の設備、広告標示は許可されない」

 マラソンは屋外のためコース付近の看板をすべて撤去するのは無理。大会組織委員会によると「マラソンに関してはスタートとゴールの場所が競技会場と定義される」と言い、発着地点は厳しくチェックされて、看板は撤去。その間の広告費は補償されるという。さらにコースの途中にも制限はある。「発着地点以外でも、できる限り配慮に努めます。場合によっては看板の買い取り、黒い布で覆うマスキング、またはメディアの方に協力してもらってカメラアングルを工夫したり。やれる限りのことはやります」(組織委関係者)

 現実的にはカメラワークでごまかす可能性が高いが、「ニッカウヰスキー」の特徴は地上から極めて近い位置にあること。ビルの高層部ならまだしも、この低さだとカメラアングルにも限界がある。そうなると、ヒゲおじさんが黒い布で覆われることに…。

 ある意味、日本国民には衝撃を与える(?)非常にレアな映像になるが、果たしてどうなるか。

2019年11月12日 16:30 東スポ
https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_1617789/
https://s.eximg.jp/exnews/feed/TokyoSports/TokyoSports_1617789_c653_1.jpg