11月14日、民間信用調査会社の帝国データバンク、東京五輪に関する企業の意識調査の結果を発表した。調査期間は2019年10月17日〜31日、調査対象は全国2万3,731社で、有効回答企業数は1万113社(回答率42.6%)で、2013年10月、2016年5月に続く3回目の調査となる。

◆中小企業ほどメリットは無縁。運輸業界からは不満続出

 調査によれば、2020年7月から始まる東京オリンピックの自社の業績への影響について、「プラスの影響」があると回答した企業は15.0%、「マイナスの影響」があると回答したのは10.5%となった。一見するとやはり「プラスの影響」を期待している企業のほうが多いのかとも思うが、実際その差は5ポイント足らず。しかも、「影響はない」は半数以上の56.1%、「わからない」が18.5%ということを考えると、実際のところ、自社の業績にメリットが有ると実感している企業は15%しかなく、それ以外の大半の企業、85%の企業はマイナスの影響やメリットがないと考えているのである。

また、1000人超の企業では37.9%がプラスの影響があると回答している一方で、5人以下の企業では11%と、3倍以上の乖離が見られ、メリットがあるだろうと考えているのは大企業ばかりという結果が浮き彫りになった。

 特にマイナスの影響を懸念していたのは『運輸・倉庫』業界だ。同業界においては、「マイナスの影響」が「プラスの影響」を 5.1 ポイント上回っていた。その理由としては、「都内の交通規制や交通混雑のため通常配送ができない。そのため、時間外労働の増加や配送荷物の遅延などが想定される」(一般貨物自動車運送、東京都)、「五輪期間中は断続的に交通規制の影響を受けるため、荷主が配送制限を設ける可能性がある。G20 サミットのように数日で終わるものではないため、代替手段を検討することになるが、当社の売上に大きなマイナス要因になると思われる」(一般貨物自動車運送、大阪府)

◆これまでの売上増もこれからの売上増も期待感ゼロが最多

 オリンピック関連の売り上げ予測についても当然といえば当然だが、実にはっきりとした結果になった。

 東京五輪に関連するこれまで(2013年〜2019年)の売上額(競技場や選手村の建設など直接的な売り上げだけでなく、関連する商品・サービスなど間接的な売り上げも含む)については、なんと東京五輪に関連する売り上げはないとする「0円」が最多の54.9%。同様に、これから(2020年〜2024年)の東京五輪に関連する売上額についても「0円」が51.3%でトップとなった。

 もはや企業も、一部のゼネコンや宿泊業など以外の企業は、「五輪特需」などほとんど期待していないのではないかと思える結果になった。

◆「通常どおりの勤務」が半数超え

 また、企業業績以上に一般のビジネスパーソンからすると五輪期間中の働き方がどうなるかが気になる人も少なくないだろう。

 しかし、企業の半数以上が「通常どおりの勤務」(51.9%)と回答している。で、「現時点で検討していない」(25.9%)がその次に来ていることを考えても、77.8%が「特に何もしない」としている。

 開催地の東京ですら3社に1社が「通常どおりの勤務」(35.2%)と回答しているのも驚く。競技開催時の混雑が予想されるにも関わらず、「五輪期間中の休暇を設定」や、時差通勤など「出社時間の変更」を検討しているのは1割超程度だったのだ。

 混乱を回避することを検討していた企業からは、、「五輪開催中、東京で予定している展示会(イベント)を前倒しする」(男子服卸売、愛知県)や「五輪期間に本来であれば開催する会議等についてはビデオ会議で対応」(建設機械器具賃貸、北海道)などの声があった。

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