中学受験で「精神安定剤」を服用した小6の娘…「まさか自分が教育虐待?」母の葛藤

中学受験中の息子(小6)を父親が刺殺した事件(名古屋教育虐待殺人事件、2016年)は記憶に新しいだろう。愛知県にある中高一貫の進学校に通った父が、長男を中学受験で母校に進学させようと熱心に指導するうちに、ついには勢い余って刺殺してしまった事件だ。今年7月、名古屋地裁は父親(51歳)に、懲役13年の実刑を言い渡した。
なんともやりきれない事件だが、かねてよりあった「教育虐待」が顕在化したとも言える。親はなぜ子どもを追い詰めてしまうのだろうか。(ルポライター・樋田敦子)

●家族3人を焼死させた「医師の息子」

※中略

●まさか自分が教育虐待?

さて、いま社会で聞かれる「教育虐待」とは何か、改めて整理したい。虐待には、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待の4つがある。

教育虐待に関しては、明確な定義はないが、子どもの人権を無視して、勉強や習い事をさせる行為を指す。日本子ども虐待防止学会のシンポジウムで、2011年に、武蔵大学の武田信子教授らが教育虐待について話し、教育される側が受ける虐待を指すようになった。強要されて身体的にも心理的にもダメージを受け、さまざまな症状が出てくるとされている。

神奈川県に住む会社員Aさん(50歳)は、中学受験に合格し、今春から超進学校の私立の中高一貫中学に進んだ次女(13歳)に「教育虐待してしまったのではないか」と後悔している。

「もともと次女は傷つきやすい性格の子で、2歳違いの長女のように、親の小言を受け流すような強い部分がありません。それは重々分かっていたのですが、それでも受験期間に入ると、いろいろ言ってしまいました。

受験の初期には“できれば良い学校に入ってほしい”“私立の中学校に進学できると、将来の選択肢が広がるからね”と伝えて、勉強するように仕向けましたーー」

昼間は仕事をしているので「教育熱心な母親のように、一緒に問題を解いて勉強するようなことはなかった」と話す。ただ「きちんと勉強してるの?」と叱責することはあった。

また生活面でも小言は多かったと振り返る。次女はもともと、自室を片付けられなかった。部屋は散らかっているので、塾の問題集がどこにあるかもわからず、すぐには探せない有様だ。また親の目を盗んで、ずっとスマホをいじり、食べてはいけないと禁じているカップラーメンやインスタント食品を食べてしまうなどの行動が目立った。

親としては、口うるさく言わずにはいられなかった。

※中略

●心療内科で「受験のストレスがあります」

ところが次女が6年生になろうとしていたとき、チック症状が出るようになった。そして机の引き出しに何本ものカッターが入っていることを発見し、「もしや自傷行為をしているのではないか」という気持ちがかすめ、手首を見た。

傷はなかったが、慌てて次女を心療内科に連れていき、カウンセリングを受けさせた。次女は医師を前にこう告げた。

「受験のストレスがあります」

Aさんは「この時ばかりは、落ち込みました」と話す。「“毒親”や教育虐待に関する、いろいろな本を読みましたが、どこがいけないが分かりませんでした。それからは小言はなるべく言わないようにはしましたが、将来、社会に出たときに娘が困ると思い、片づけのこと、勉強のことなど、普通の親程度には言い続けました」。

娘も精神安定剤を服用しながら受験勉強は続けた。もともと集中力のある子だったので、入試直前になって成績は急上昇し、本命校に合格することができた。

※中略

●女性医師(48)が「いまだに絵が描けない」理由

※以下、略

「すべて娘のためにと思ってやってきた」と話す母親(2019年8月、樋田敦子撮影)
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11/16(土) 9:13配信弁護士ドットコム