0001しじみ ★
2019/11/22(金) 07:33:52.63ID:P1XTawsa9正午少し前、フランスの小さな町ルテイユに住むクレマン・バスティ氏が家族と一緒に夕食の準備をしていたとき、家の壁が振動し始めた。グラスや皿が床に落ちて割れた。その後、低く轟くような音が街中に響きわたった。
家からそう遠くないところにある原子力発電所で爆発が起こったのではないかと、バスティ氏は恐怖にかられた。高校の生物と地学の教師である氏は外に飛び出し、空にキノコ雲を探した。ところが、まもなく判明した振動の原因は、発電所の爆発ほど危険ではないものの、この地域には非常に珍しい現象だった。地割れを伴う地震だ。
地震の強度はマグニチュード4.8で、多くの建物が壊れ、4人が負傷した。この地震には数多くの興味深い特徴があり、科学者たちの活発な議論の的となっている。
コートダジュール大学の地震学者ジャン=ポール・アンプエロ氏によれば、ひとつ目の注目点は、世界的に見ればさほど大きくはないが、今回の地震が「フランスの基準では非常に強力なもの」ということだ。フランスでも地震は起こるものの、その大半が非常に弱いという。
さらに意外なのは、まるで卵の殻を割るように、この地震で地割れが起きたことだ。こうした地割れは一般的に、1992年に米カリフォルニアで起こったマグニチュード7.2のランダース地震など、大規模な地震でよくできる。だからこそ、ルテイユの地震で地割れが起こったことについて、研究者らは首をひねっている。
同地域のこれまでの地球力学を調査することによって、彼らは今回の地震の原因、突然発生した理由、さらにはより一般的な地震のメカニズムを探ろうとしている。
「突然に起こる地震は、新たなことを学ぶ絶好のチャンスなのです」と、アンプエロ氏は言う。
■「地球の標準から見ても、極めて浅い地震です」
地震は地下の岩盤がずれることで発生する。そのそもそもの原因は、地球のプレートがゆっくりと移動しているからだ。プレートは地殻とマントル上部を合わせたもので、地球全体で10数枚に分かれている。これらが常に動き続け、押し合いへし合いしている。すると、岩盤の力がたまったところに亀裂が入り、そこから送り出される振動が、わたしたちには地震として感じられる。
フランスの地殻の構造は複雑だ。フランスが位置するのはユーラシア地殻プレートの上で、その南側はアフリカプレートと接している。ただし、このふたつのプレートの境界線は複雑で、そこにはマイクロプレートと呼ばれる、より規模の小さなプレートの破片が数多く存在する。こうしたプレートの破片同士の衝突によって生まれる多様な動きが、フランスをさまざまな方向へと押しやっている。
「フランスの断層は、サンアンドレアス断層のような、大規模で、まっすぐで、わかりやすいものではありません」と語るのは、パリ高等師範学校の地球物理学者ルシール・ブリュア氏だ。フランスでも大きな地震が起こらないとは言えないが、カリフォルニアのような巨大地震の可能性は低い。)
また、どんな場所であろうと、さほど強くない揺れでは通常、地割れは起こらないと、パリ地球物理研究所の測地学者ラファエル・グランダン氏は言う。先日の地震が発生したとき、その痕跡を目にするとグランダン氏は予想していなかったそうだ。
グランダン氏らは、地震の最中に稼働していた衛星のレーダーデータを精査し、地表の微小な動きを確認した。その結果を元に彼らが作成した地図には、地震によって地面がどれだけ動いたかが虹色で示されている。
驚いたことに、この地図には、地面の変動だけでなく、地割れの兆候もはっきり現れていたという。
その理由は、ひとつには、この地震が非常に浅い場所で起こったことだ。大きな地震には、地表からかなり深いところで発生するものが多い。浅くても地下5キロより深い。しかし分析の結果は、今回の地震が地下わずか1.5キロ前後で発生したことを示している。
「これは地球の標準から見ても、極めて浅い地震です」と、アンプエロ氏は言う。
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