【台風19号・被害TOP福島】長引く避難所生活...『TKB』注意 冬本番へ感染症や防寒対策も
2019年11月22日 09:30福島民友新聞
 県内で冷え込みが厳しくなる中、台風19号などの影響で避難所生活を余儀なくされている避難者たちの健康への影響が懸念されている。避難所は防寒対策が万全ではないところが多く、避難者が寒さから体調を崩す心配があるからだ。インフルエンザなどの感染症対策も集団生活の中では大きな課題で、専門家は避難所の環境改善や情報共有の徹底などを求めている。

 福島地方気象台によると、冬型の気圧配置の影響などで、21日は福島市鷲倉でマイナス3.8度を記録。県内観測所32カ所中、9カ所(同日午後4時時点)で今季最低を記録した。

 「とても残念です」。台風19号後、いわき市や郡山市などの避難所を訪れた新潟大の榛沢和彦特任教授は声を落とす。避難生活との関連は判明していないが、いわき市で避難生活を送っていた70代女性が体調不良を訴え、死亡したからだ。

 いわき市によると、この女性は台風19号が上陸した10月12日から避難生活を送り、同16日からは内郷コミュニティセンターに避難。今月10日にトイレで吐き、息苦しさを訴えて市内の医療機関に運ばれ、翌11日に亡くなった。死因は肺炎で、市は避難生活との関連性を調べている。

 榛沢氏が理事長を務める避難所・避難生活学会は、避難所の注意点として「トイレ(T)」「キッチン(K)」「ベッド(B)」の頭文字を取り、「TKB」を重視する。20人に1個以上の洋式トイレ▽公民館の調理室などを使用した温かい食事の提供▽冷たさがじかに体に伝わらない段ボールなどを使った簡易ベッドの整備―を求めている。

 榛沢氏は避難所を巡回して感じた点として「避難者が欲しいものの情報が、自治体間で共有されていない」と指摘する。寒くなることで施設内の換気が行われなかったり、避難者が体を動かさなくなることなどに懸念を示し、「避難所の環境を良くすることが一番。避難前の生活環境に近づけられるようにしてほしい」と訴える。
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