太陽系の外から来た「すい星」が近づいていて、各地の天文台では太陽系の外から来た珍しい訪問者の観測を始めています。

このすい星は、海外のアマチュア天文家によってことし8月に発見され、「ボリソフ彗星」と名付けられていて、軌道を分析したところ太陽系の外のはるか遠くから来て通過していく「恒星間天体」であることが、すい星としては初めて確認されました。

来月にかけて太陽や地球に近づくのを前に、各地の天文台が観測を始めていて、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が先月12日に捉えた画像では、直径が数キロと見られるすい星の核が白く輝き、その周りをちりが取り巻いている様子が観測されました。

また、東京大学の酒向重行助教のグループが今月16日に観測した動画では、明るさが16等星程度に増していて、すい星の「尾」もはっきりし、しし座の方角を移動していることが確認されました。

「ボリソフ彗星」は一般的なすい星とは軌道が大きく異なり、太陽系を貫くように火星と木星の間を通過してその後、太陽系の外へと遠ざかっていくことがわかっています。

太陽からの距離が最も近くなる来月8日ごろは、明るさが15等星程度と、経験の豊富なアマチュア天文家ならば観測できるようになると予想されています。

また、すい星の専門家は、「尾」に含まれる成分を分析して、太陽系のすい星との違いを観測する計画を立てるなど、太陽系の外からの珍しい訪問者が関係者の注目を集めています。

■太陽系外の星などの貴重な情報もたらすかも…

太陽系の外から来た天体は「恒星間天体」と呼ばれ、おととし初めて小惑星が確認され、すい星としては今回が初めての事例で、合わせてこれまで2例しか確認されていません。

おととし初めて観測された小惑星は「オウムアムア」と名付けられ、見慣れない細長い形状だったこともあり、関心を集めましたが、発見された時にはすでに太陽系から離れていく段階だったことから、詳しく観測することができませんでした。

一方、今回の「ボリソフ彗星」は、すい星としては初めてのもので、小惑星とは違って「尾」ができるため、含まれている成分が分析しやすいと考えられています。

また、「ボリソフ彗星」は太陽系に近づいてくる段階で見つかったことから、関係者は観測しようと待ち構えていて、太陽系の外の星や惑星の材料などについて、貴重な情報をもたらす可能性があるとして注目しています。

2019年11月25日 8時24分
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