世界で初めて米スタンフォード大学の生物学者らが行った、シロナガスクジラの心拍数の調査で、クジラの心臓が限界で機能していることが明らかになった。
この調査ではさらに、シロナガスクジラの大きさと体重がなぜ何百万年も変わっていないのか、その理由も解明できた。

これらの研究結果は「米国科学アカデミー紀要」で報告されている。
論文の著者の一人、米スタンフォード大学の生物学者のジュレミー・ゴールドボーゲン助教授は研究結果をコメントした中で、体が極限状態で機能している動物の研究は、地球上の生物の体の大きさをこれ以上大きくできない、または小さくできないと歯止めをかけている要因を突き止める手がかりとなるもので、環境の変化がそうした動物の生存に与える影響や、特にシロナガスクジラを絶滅から守る方法を知る上でも重要と指摘している。

その巨大な体格のため、大人のシロナガスクジラには天敵はいない。
理論的には他の動物の場合と同様に、大人のシロナガスクジラの大きさと体重は徐々に増加するはずである。
しかし、この動物の大きさは数千年前から変化していない。

生物学者らは、特別な測定器を使って自然界で暮らすシロナガスクジラの心拍数を測定した。
その結果、最小心拍数は生物学者らの予想の半分と少なく、一方最大心拍数は予想よりわずかに多いことが分かった。

シロナガスクジラが海中、あるいは深海に潜っている間の1分間の心拍数は4〜6回で、海面で空気を吸い体内に酸素を補給し始めると、心拍数は30〜35回まで増加した。
潜水中と浮上中のシロナガスクジラの心拍数の大きな差と、睡眠時の心拍数が非常に少ないということは、シロナガスクジラの体が極限状態で機能している証拠と生物学者らはみている。

また、このことは、シロナガスクジラの体の大きさが長い間変化していない理由を説明している。
シロナガスクジラのこれ以上の成長は、単純な生理学的理由から不可能なのだ。

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