人や建物が多く、植生が少なめの都市では、田舎の森や山と比べて、野鳥の種類は少ないと思われがちです。スズメやドバト、カラス、ムクドリくらいしか見たことないという方もいるかもしれません(実はそうでもなく、都市でも野鳥の種類は多いのですが)。ところがそんなコンクリートジャングルで、目の覚めるような青い羽をもつ鳥が、すぐそばの標識やビルの非常階段の手すりにとまっているのを見た、という人が最近増えています。その青い鳥の名はイソヒヨドリ。その名のとおり、もともとは磯=岩場の多い海岸地帯の崖地に生息する野鳥でしたが、20世紀末ごろから都市・内陸に続々と進出、特に近年は目撃談も右肩上がりで増加しているのです。

都市鳥の仲間入りしつつあるイソヒヨドリってどんな鳥?
群れない。単独行動を好むフリーダムな性格。その育児も独特だった
害虫駆除能力も高いイソヒヨドリ。その歌声も絶品です
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■都市鳥の仲間入りしつつあるイソヒヨドリってどんな鳥?
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イソヒヨドリ(Blue Rock Thrush Monticola solitarius)はスズメ目ヒタキ科イソヒヨドリ属に分類される鳥類で、五つの亜種がユーラシア大陸、アフリカ大陸から太平洋の島嶼に広く分布し、日本には亜種Monticola solitarius philippensisが留鳥として全国に分布(北海道では夏鳥)します。ヒヨドリと名がつくもののヒヨドリとは近縁ではなく、ツグミに近い仲間です。体長は21〜23cmほどで、ややメスが小型ですが雌雄のサイズの差はさほどありません。被毛の色は大きく雌雄で異なり、オスは頭部から背中、上尾筒にかけては冬の晴天のような青色で、胸から下尾筒にかけてのお腹側と下雨覆いは濃赤色(レンガ色)、そして風切羽根と尾端は濃紺、と一目で分かる鮮やかさです。
メスは全体的に茶系統とベージュでカラーリングは地味ですが、全身に細かなまだら模様が入り、独特の繊細な美しさがあります。

学名のMonticola solitariusとは、山の孤独な者、といった意味で、ユーラシア大陸の広域に分布する亜種は、標高2000〜4000mの高山地帯に単独生活をする鳥として知られています。日本では岩礁の多い海岸、磯場にのみ生息する野鳥とされています。
日本列島に渡ってきたイソヒヨドリが、海岸沿いの崖地などに営巣するようになった理由は、おそらく日本列島の地形特性として、広大な内陸の山岳地帯が広がる大陸と違い、海沿いに彼らの好みである高低差のある岩礁地帯が多かったからなのではないかと思われます。
ところが、都市化が進んだ1980年代の後半ごろから、次第に内陸のビル街や工場の外壁部材にイソヒヨドリの姿が見られるようになりました。1991年に改訂された「日本の野鳥(山と渓谷社)」に、内陸進出と記載されています。当初は、繁殖期が終わった秋ごろから、単独行動の季節に気まぐれに内陸地に逗留するものと考えられていましたが、次第に各地で繁殖も確認され、本格的にイソヒヨドリが内陸、しかも何十キロも海岸から離れた都市や住宅街に分布域を広げていることが確実となりました。最近では、大都市中の大都市・渋谷駅周辺でも見かけるようになったという報告があります。

性質は極めて図太く好奇心旺盛で、人間のすぐそばに飛んできて平然と佇んでいることも多いので、多くの人に目撃されることになります。他の野鳥に対してもかなり強気で、ミミズを捕って集まったムクドリの群れを、一羽のメスのイソヒヨドリが蹴散らしてしまうのを見たことがあります。

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■群れない。単独行動を好むフリーダムな性格。その育児も独特だった
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■害虫駆除能力も高いイソヒヨドリ。その歌声も絶品です

2019年11月27日
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