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仏大統領に孤立感 スタンドプレー裏目―NATO
2019年12月01日07時13分

 【パリ時事】ロンドンで12月3、4の両日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催されるのを前に、フランスのマクロン大統領に孤立感が漂っている。欧州の自立を訴えるマクロン氏は、「警鐘を鳴らすため」としてNATOを「脳死」状態と批判。関係各国の反発を招いた。「欧州の新リーダー」を自負するマクロン氏のスタンドプレーが裏目に出ている。


 マクロン氏は、欧州連合(EU)の拡大よりも現加盟国での統合の優先を主張。10月のEU首脳会議で、西バルカン地域の北マケドニア(旧マケドニア)とアルバニアのEU加盟に反対して足並みを乱し、批判を浴びた。

 最近のマクロン氏の言動を、独自路線で国際社会での地位を確立しようとしたシャルル・ドゴール元仏大統領になぞらえる見方もある。仏政治学者トマ・ゲノレ氏は「欧州が中立的な立場から米国と中国の仲介役となるべきだと考えるマクロン氏の主張は、ドゴール氏に近い」と分析する。

 ただ、今のところマクロン氏に明確に賛同する国はない。仏政治学者オリビエ・ルカン氏は、マクロン氏が「十分な政治的協力を得られていない」と孤立を懸念。EU人事をめぐりドイツのメルケル首相との対立も浮き彫りとなった。

 仏政治学者ドミニク・モイジ氏は仏紙レゼコーへの寄稿で「(マクロン氏は)EUのあるべき姿を追求するあまり、NATO弱体化や欧州分裂を加速させるべきではない」と警告した。