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米政府、仏製品に追加関税検討 「不当な」デジタル税に報復と
2019/12/03

米通商代表部(USTR)は2日、フランスが今年7月に導入したデジタルサービス税への対抗措置として、24億ドル(約2600億円)相当の仏製品に最大100%の追加関税を課す準備を進めていると発表した。

この追加関税が課された場合、対象となるのはチーズやスパークリングワイン、化粧品やハンドバッグなど。

USTRのロバート・ライトハイザー代表は、フランスのデジタルサービス税が不当に米テクノロジー大手を標的にしていると主張。現在検討中の追加関税は、「米企業を差別したり、あるいは不当な負担を負わせたりするデジタル税制度に対し、アメリカが対応策を講じるだろうという明確な意思表示」だとし、他の国が同様の措置を講じることを抑止するためのものだと説明した。

保護貿易主義の拡大

USTRは今年7月、通商法301条に基づき、フランスのデジタルサービス税について調査を開始し、2日に調査報告書を公表。このデジタルサービス税は、利益ではなく売り上げ高に課税するなど国際的課税基準に反しており、米テクノロジー企業にとって「異常な重荷」になっていると結論付けた。

調査結果を踏まえ、ライトハイザー氏は追加関税を課す方針を発表した。今後、国民の意見を聞くパブリックコメント期間を設けることとなる。
ライトハイザー氏は、オーストリア、イタリア、トルコの同様のデジタル税についても調査を行うか検討中としている。イギリスもデジタル税への対策を講じている。
「USTRは、不当に米企業を標的にしている、欧州連合(EU)加盟国で拡大する保護貿易主義に対抗することに重点を置いている。デジタルサービス税あるいはほかのやり方で、米デジタルサービス企業が標的にされている」と、ライトハイザー氏は述べた。

フランス側はこれまで、同国のデジタルサービス税は、企業本社の所在地ではなく、デジタル活動に基づいて徴収されるべきだと主張している。

フランスのデジタルサービス税とは

デジタル税は、2019年1月からの仏国内での売り上げに対し3%課税するというもので、2019年に4億ユーロ(約500億円)の税収を見込んでいる。デジタルサービスによる年収が仏国内で少なくとも2500万ユーロ(約30億円)発生し、かつ全世界で7億5000万ユーロ(約900億円)以上の企業が対象となる。
約30の企業が納税することになるとみられ、その多くはアルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどの米企業だ。
これに対しアマゾンはすでに、仏企業を対象に利用手数料を3%値上げして対抗している。
米テクノロジー企業は、二重の納税を強いられると反発。税制の刷新には国際的努力が必要だとしている。しかし、こうした交渉はなかなか進んでいない。
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