■加盟店の利益を重視してこなかったことを反省 規模拡大よりも既存店を大事にする方針に転換

加盟店の時短営業を、本部との同意を条件とせず容認する方針を11月14日に打ち出したファミリーマート。澤田貴司社長が5日までにダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、「従来の加盟店への支援策では、まだ足りない。より加盟店に寄り添った経営判断が必要だ」と真意を説明した。時短営業店の増加で配送などのコストがかさんでも、本部が吸収すると強調。また、コンビニエンスストアで売れ残った食品の廃棄が問題視されていることから、廃棄量を減らした加盟店に奨励金を支払う制度を検討していることを明らかにした。

――11月に、本部との同意がなくても加盟店が深夜に閉店する時短営業をできるようにした方針を発表した狙いを教えてください。

コンビニ市場は既に飽和しているとの認識から、2016年のサークルKサンクス(CKS)との経営統合以来、約1万9000店だった店舗規模を1万6500店程度まで減らしました。規模拡大よりも、既存店を大事にする方針に転換したためです。

私がファミリーマートの社長に就任した16年以降、設備投資のほとんどを既存の加盟店支援に回してきましたが、それでも足りない。人件費など店舗の運営コストの上昇が続いており、「苦しい」という声を、前々からLINEで繋がっているオーナーとのやり取りの中で聞いてきました。

また今年6〜7月には時短営業の実験をしました。その結果、時短をしても、(人件費負担の減少により)オーナーの手取り収入が増加したケースもあった。現在継続中の600店超が参加している大規模な実験の結果を待たずに、より加盟店に寄り添った経営判断をすべきだと考えました。

私自身も反省していますが、本部はこれまで加盟店の利益を重視してこなかった。本部が店舗の従業員の人件費や社会保険料を負担する必要がなく、それが本部にとって都合がいいと考えてきたことが問題だったのです。

■時短による配送ルート変更のコストは吸収できる 食品廃棄量を減らした加盟店への支援も検討中

――6〜7月に実施した加盟店向けのアンケートでは、全体の48.3%にわたる7039店が、時短営業を「検討したい」と回答しました。

例えば時短実験に参加しても、やはり24時間営業に戻したいという加盟店もおられます。7000店以上がすぐに時短を始めるという状況だとは考えていません。とはいえ、7000店以上のオーナーがそのように考えておられるという事実を受け止め、今後対応できるようにしないといけない。

時短実験では、商品の配送ルートの変更に伴って本部のコストが若干増えていますが、本部はそれを吸収することができる経営にしないといけません。できないこともあるかもしれませんが、何があってもわれわれ本部が加盟店に合わせていくという覚悟が必要です。

具体的な内訳は、24時間営業する加盟店に支払う奨励金を、月額10万円から12万円へと増額するために30億円。複数店経営をする場合、店舗数に応じてお出しする奨励金に50億円。売れ残って廃棄する食品のコストの本部負担分の増額に20億円と、計100億円を投じます。

廃棄については、今年からうなぎの蒲焼きなどといった季節商品を完全予約制にしました。また、仕込みに時間がかかり、売れ残りの多いおでんの販売を推奨する期間を、7カ月間から3カ月間に短縮しました。加えて、まだ具体的には申し上げられませんが、廃棄そのものの量を減らした加盟店に奨励金を出す仕組みを検討しています。

――セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)やローソンは、販売期限が迫った食品を5%分のポイントを還元して売り切る仕組みを実験しています。

5%分のポイント値引きでは、インパクトは大きくないでしょう。一方で、いわゆる「見切り販売」で30%程度の値引きをすれば、値引きされた商品ばかりが売れてしまい、値引きしていない商品が売れ残って、逆に廃棄する量が増えるといった問題も起こります。廃棄負担を軽減したり、廃棄量を減らしたりする仕組みは簡単ではないので、慎重に検討していきます。

■本部は商品とマーケティング機能を重視したうえで 加盟店と地域に“異常”に密着して成果を出す

以下ソース先で

2019.12.6 5:35 ダイヤモンド編集部
https://diamond.jp/articles/-/222617
https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/a/670m/img_1a44fe493aba21edc05a83c647090222230884.jpg