時代は山本太郎乗り遅れるな

2019年12月03日



撮影1ヶ月・編集3ヶ月の突貫製作
原一男と言えば「ゆきゆきて、神軍」(1987年公開)で日本映画のオールタイムベストに必ずその名が挙がる、ドキュメンタリー映画界のリビング・レジェンドだ。

ドキュメンタリー映画「れいわ一揆」は、原監督みずから「言葉に重きを置いた作品」であると説明が成された。選挙戦への密着は、演説、スピーチ、交渉、対話、説明、主張、反論、愚痴、祝辞・・・、様々な言葉が飛び交う時間への密着となる。その膨大な量の言葉の中から、監督の胸に響いた言葉たちが映画の時間を紡いでいったのだと。

監督の思いを受け止めつつ、この映画を観ながら随所に感じたのは、さまざまな「熱」だった。熱の源は山本太郎。山本の放つ熱が誰かを熱し、発熱を促し動き出す。その熱は人から人へ、場所から場所へと伝導を繰り返す。

作品の縦軸を担うのは、れいわ新選組の比例候補のひとりである安冨歩だ。安冨は程なくれいわ本体から離れて一人となり全国各地での遊説を始める。

「選挙活動=(イコール)選挙カーによる候補者名連呼」という、固着した効率へのアンチテーゼも含めて安冨は馬を連れて街から街へと練り歩く。人馬一体の選挙活動だ。安冨の佇まいはマイペースで穏やかだ。馬の肉は熱を冷ますというが、まるで安冨は自身の熱を馬に託したかのように選挙活動は淡々と進んでいく。


映画「れいわ一揆」は上映時間が4時間ある。その長尺ゆえか、11月2日に東京国際映画祭2019で初公開された際の上映枠は土曜深夜オールナイトだった。

上映前に原監督が客席に向かって、「共感するところあればスクリーンに向かって『そうだそうだ』と声出していいし、つまらなかったらブーイングしていい」とリアクションOKの鑑賞を促したことで、前売即完満席で300人オーバーの客席からは上映中に随所で爆笑あり(丸川珠代!)失笑あり拍手あり溜息ありのフリーダムな反応に包まれるちょっと熱いイベント空間と化していた。

この映画が孕んでいる「熱」は、現在進行形のスリリングな事象とつながっていて、同時代の人々に触れられることでその熱量を増していく類の作品であると感じている。
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