週末政治

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終末期に入った安倍政権を揺さぶる分断と対立

首相の親衛隊チームと一般行政官僚チームとの間で高まる緊張関係

牧原出 / 東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学・行政学)
2019年12月06日


 野党の国会延長要求を自民、公明両党が拒否したため、臨時国会は6日、事実上、閉幕する。「桜を見る会」をめぐり、野党の攻撃の矢面に立たされてきた安倍晋三首相にすれば、ひとまず追及から逃れたかたちだ。とはいえ、事態は依然、収まる気配をみせていない。

 振り返れば、9月初めの内閣改造にあたり、安倍晋三首相は「安定と挑戦」が政権のキーワードだと強調した。ところが、首相の意気込みとは裏腹に、10月初めから始まった臨時国会を通して、政権はふらふらと動揺しっぱなしである。すでに終末期にさしかかっていかのように……。

不祥事の背後に共通するもの

 改造内閣が発足してから1カ月あまりで、菅原一秀経産相、河井克行法相が公職選挙法違反疑惑で相次いで辞任したのがコトのはじまりだった。続いて、大学入試新共通テストへの民間英語試験導入にからみ、萩生田光一文科相の「身の丈」にあって試験を受ければよいという“失言”が世論の憤激を買い、民間英語試験の導入が土壇場で延期。そして、首相主催の「桜を見る会」をめぐる騒動である。

 「桜を見る会」では、年々増え続けた支出が、事実上の公金による支援者の供応ではないかという疑惑、安倍晋三後援会が主催した「前夜祭」が政治資金規正法に違反するのではないかという疑念、招待者名簿の廃棄が意図的ではないかという疑問など、さまざまなニュースが日々噴出した。これに対し、首相・政権の側からは、説得力のある反論はなされていない。

 一つ一つは小さな綻びのように見えなくもない。だが、これら一連の不祥事は一つの線で結びついている。すなわち、長期政権が政権のまわりにいる一部の「サークル」へ利益供与を続けた結果、もはや国全体を見渡せなくなっているという実態である。
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