丈夫でありながらざらざらとしており、主にワサビのおろし板に利用されることで知られている『サメ』の皮膚。
これまでにも、このサメの皮膚は傷を負ってもほとんど感染症にかからないことで知られていた。

しかし、その理由は謎であった。
最新の研究によると、サメの皮膚には細菌のコロニーが多く形成されており、それによって傷を感染症などから守っていることが明らかになったという。

今回、新たな発見を発表したのはサウジアラビア、キング・アブドゥッラー科学技術大学の研究者ら。
彼らはインド洋のセーシェル諸島近海において捕獲されたサメの仲間『ツマグロ(Carcharhinus melanopterus)』の背中と鰓から粘液サンプルを収集し研究を行った。

研究チームは異なる5つの海域において44匹の個体から88種類のサンプルを採取した。
研究者らは採取した粘液を調べた結果、プロテオバクテリア(63.4%)、バクテロイデス(24.0%)、アクチノバクテリア(6.1%)、フィルミキューテス(5.3%)、その他(1.2%)といった細菌が含まれていることを特定。

研究者によると、サメの皮膚にできた傷はこれらの細菌によって感染症から守られ、傷が治った後も守られ続けているとのことだ。
研究を主導したポスドク博士Claudia Pogoreutz氏は言う。

「ツマグロはインド洋などに生息し中型で一般的なサメです。野生では深く開いた傷など皮膚損傷を受けた個体が頻繁に観察されています。同時に、これは皮膚の治癒能力が優れていることを意味しています」

「実際にサメの皮膚ではどのようなことが起こっているのか。これをより理解するにはサメの細菌機能と自然免疫についてさらに深く掘り下げる必要があります。」

さらに、研究チームは様々な海域で採取したサメの粘液サンプルの細菌組成が、場所によって異なることを発見。
研究者はこれらの違いについて、水温、個体群密度、栄養素の利用可能性、汚染などによる周辺環境による影響などによるものと考えているという。

同研究はjournal Animal Microbiomeに掲載された。

http://aqua2ch.net/archives/54094884.html