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2019/12/12(木) 17:13:54.86ID:vFXKVapN9問題になっているのは、2021年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)だ。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と12月10日にワシントンで会談したマイク・ポンペオ米国務長官は同日、トランプ政権は米露以外の国や核以外の兵器を条約に組み込むために枠組みの拡大を目指していると述べたが、その具体的な方法についてはふれなかった。
ラブロフがアメリカとの協議に臨む前には、プーチン大統領が新STARTの更新に向けて無条件で交渉を開始する用意があることを表明した。
ポンペオとラブロフは会談後、軍縮に関する意見の相違について今後も協議を続けることを表明したが、冷戦終結以来アメリカが破棄した他の条約と同様、新STARTの失効を防ぐという確固たる姿勢発表には至らなかった。
「ポンペオ長官のコメントは、新STARTの延長を戦略的安定性の点で後退とみなし、それならば何もないほうがいいという意味に聞こえる」と、アメリカの独立機関「核脅威イニシアティブ(NTI)」の世界核政策計画のリン・ルステン副代表は述べた。「もちろん、そんな考えは完全に間違っている」
「条約を失効させたら、(核軍縮は)振り出しに戻ってしまう」と、彼女は付け加えた。
ソビエト連邦が崩壊する数カ月前の1991年、米ソ両国は戦略兵器削減条約(START)に調印し、核兵器の大幅削減を開始した。新STARTはその後継条約として2010年にアメリカとロシアが調印したが、2021年に期限切れを迎える。
これまでのところ、トランプ政権は中国や他の国も軍縮協定に参加する必要があると主張し、新STARTの更新を約束していない。中国は、中国が保有する核兵器は米ロに比べてまだはるかに少ないため、軍縮協議への参加は繰り返し拒んでいる。だが、トランプは先週のロンドンでのNATO西側軍事同盟会議で、「中国は協定を結びたがっている」と発言した。
「中国がアメリカとの軍縮協議をしたがっているなんて、明らかに嘘だ」と、軍備管理協会のダリル・キンボール会長は10日に電話で語った。
ポンペオとの共同記者会見で、ラブロフは中国の参加の有無にかかわらず、ロシアには新STARTを延長する意思があると繰り返した。この条約の延長には、プーチンもトランプも議会の承認を求める必要がない。
「ロシア大統領は、アメリカとロシアの間の最後の軍縮の手段が失われることによる国際社会の緊張を緩和するために、条約を今すぐ延長する準備があることを改めて表明した」と、ラブロフは語った。「ロシアは今日にでも延長する用意がある。ボールはアメリカ側にある」「だがアメリカ側からの具体的な提案はない。しばらく時間がかかるだろう」
ポンペオは、中国を加え、ミサイル以外の兵器を含める新しいタイプの軍縮の基盤を作るためには新STARTの境界を広げる必要があると述べた。
条約の限定的な延長を受け入れるかという質問に対し、ポンペオは、新技術の登場と高性能兵器の拡散に対応するために、新たな措置を講じる必要があると繰り返し、「現在の状態にとどまる」ことは全世界の戦略的安定性が低下する可能性があると主張した。
「条約の対象拡大も最終的には達成されなければならないが、先に二国間条約を締結しておけば、それもはるかに容易になるだろう」と、アメリカのジョン・ベイル元駐ロシア大使は10日の記者会見で語った。
米露間の軍縮体制がゼロに
アメリカ政府は過去にも、冷戦時代に旧ソ連と締結した軍縮協定を一方的に破棄してきた。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は2002年、1972年に締結された弾道弾迎撃ミサイル(ABM)削減条約から一方的に離脱した。
1987年の中距離核戦力(INF)全廃条約については米ロともに相手が条約に違反していると非難しあっていたが、トランプが離脱を表明し、今年8月に正式に失効した。
新STARTが期限切れで失効した場合、アメリカとロシアはここ半世紀で初めて、互いに核兵器を抑制、検証し、データを共有する体制から完全に解放される。
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