【来年1月31日にEUを離脱】EU首脳、英保守党の勝利歓迎 「EUはEUの利益を守る」

2019年12月14日(土)14時00分

欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。

12日投開票の英総選挙では、ジョンソン首相率いる保守党が単独過半数議席を獲得し地滑り的勝利を収めた。ジョンソン首相は13日、保守党政府は英EU離脱の完遂を付託されたと勝利宣言、来年1月31日にEUを離脱するとあらためて表明した。

英国を除くEU加盟27カ国首脳は13日、来年12月までの移行期間中に将来的な英EU関係を巡る協議を開始できるよう新たな英議会による離脱合意の迅速な批准を求めた。

ドイツのメルケル首相は首脳会議後の記者会見で「協議は非常に複雑になるだろう。協議内容は通商面や漁業、安全保障および外交政策での連携など多岐にわたる」と指摘。「最大のハードルはこれらの問題を非常に迅速に解決する必要があることだ。来年末までに完了しなければならない。6月には移行期間の延長の是非に関する判断を行う必要があるが、英国は延長を望んでいない」と述べた。

ミシェルEU大統領は、加盟27カ国が英国のEU離脱後に英国との「非常に強力な戦略的関係」を望んでいると表明。ただ、EUが英国との新たな通商合意において公平な競争を保証する条項を求めていることに言及し、「EUにはEUの利益を守り、促進する用意がある。平等な競争条件は非常に重要な目標だ」と語った。

加盟27カ国の共同声明では、英国との将来的な関係は「権利と義務の均衡および平等な競争条件の確保」に基づく必要があるとした。

フランスのマクロン大統領は、英国がEU離脱後に経済を巡る規制緩和を求めれば求めるほど、EUの単一市場へのアクセスが失われると強調。「気候や環境、経済、社会における規制で大きな違いがある欧州の単一市場と強力な関係が築けるとは考えづらい」と述べた。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「短い時間を最大限活用する用意がある。英国は第三国となるが、最終的には前例のないパートナーシップを締結するだろう」と語った。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/eu-207.php

12月13日、欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。写真は同日、ブリュッセルで記者会見するミシェルEU大統領(2019年 ロイター/Yves Herman)
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