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名古屋と横浜。大都市が地震の危機に晒されている。東日本大震災から9年近く、地殻変動が再び活発化している。台風に続き、一難去ってまた一難、どころではない。壊滅的被害から逃れる術はあるのか。

危険な断層が3本も

秋口から巨大な台風が日本を直撃し、多大な被害をもたらしたのは記憶に新しい。だが、今年の災害危機はこれだけでは終わらない。

実はいま、気象災害のほか、巨大地震発生の危機が迫っている。最新データが指し示すのは、日本屈指の大都市である名古屋と横浜だ。この2都市の「Xデー」は近い。

「実は名古屋市内には、中心部を通る3本の断層が存在しています。現在、この3つの断層が危ないと言われているのです」

こう語るのは、立命館大学・環太平洋文明研究センター長の高橋学氏だ。

3つの断層は、@JR名古屋駅から熱田神宮へとつながる断層、A名古屋城から熱田神宮へとつながる断層、さらにB鶴舞公園から笠寺観音へと通じる断層のことである。

これらは市内の南北を縦断している。なぜいまこの断層が注目されているのか。

名古屋市のある東海地方を襲う巨大地震として知られているのが東海地震だ。

内閣府の中央防災会議が組織する、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は現在、東海地震に対しての警戒も強めている。駿河湾近くを震源とする東海地震は、これまで平均して150年に一回という周期で中部地方を襲ってきた。

記録によれば、1605年の慶長地震、1707年の宝永地震、1854年の安政東海地震といった具合だ。直近で最後の東海地震となる安政東海地震が発生してから、すでに165年もの間隔が空いている。

中央防災会議は、東海地震について「今世紀前半での発生が懸念されている」と警告する。つまり、もはや東海地震はいつ発生してもおかしくない状況なのだ。

歴代の東海地震の規模を示すマグニチュード(以下、M)は、7.9〜8.6。ただでさえ巨大な東海地震が165年もの間エネルギーをため込んでいるため、次の地震の際にはかなりの規模となる可能性が高い。

名古屋を含む東海地方は、史上最大レベルの被害を受けるおそれが高まっているわけだ。

これだけで十分に危機的な状況と言えるが、問題は前出の3つの断層だ。東海地震に際し、これらの断層が連動して動く。それこそが最悪のシナリオである。前出の高橋氏が語る。

「東海地震や3・11の東日本大震災のような、海溝型の大きな地震が来る直前には前兆として直下型の地震が発生する傾向があります。

1946年の南海地震の1年前には、内陸直下型地震であるM6・8の三河地震が起きています。東日本大震災の際にも、本震の2日前に宮城県でM7・3の地震が起こっている」



M8超級の東海地震の前に、まず直下の3断層が動くことにより、大型の直下型地震が名古屋を直撃するのだ。

「3つの断層のうち特に名古屋駅から熱田神宮までを通る断層は1891年の濃尾地震の際にも動いた断層です。

濃尾地震はM8を記録していますから、この断層が動き、直下型の地震となった場合、名古屋市内は最大でM8クラスの大型地震に見舞われる可能性があります」(高橋氏)

1995年に6000人以上の犠牲者を出した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)はM7.3だった。名古屋がどれほどの危険に晒されているかはその数値からもわかるだろう

2019年12月16日 週刊現代 続きは↓で
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