被爆者で、マスターズ陸上競技の100〜104歳の部で日本記録を持つ広島県三次市の冨久正二さん(102)が、2020年東京五輪の広島県内の聖火ランナーに内定した。

 記者会見した冨久さんは「被爆して日がたつに従って、生きよう、何をしてでも頑張ろうという信念が湧いている。『自分の人生はこれからだ』と、皆さんのお手本になれる走りをしたい」と意気込みを語った。

 冨久さんは1945年8月6日、国鉄職員として備後十日市駅(現三次駅)で勤務していた。所用で午前8時15分に広島駅に着く列車に乗っていたが、予定が変わり出発直前に降車。その後、原爆投下を知った。

 救援隊として広島市に入り、捜索活動に従事した。「一望千里で、再興など全く考えられなかった。ただひたすらに一人でも命を何とかしたいという念願しかなかった」と当時を振り返る。この時に放射線を浴び、入市被爆者と認定された。

 冨久さんは97歳で陸上競技を始め、100歳の時、60メートル走で16秒98の日本新記録を出した。料理や洗濯、掃除も自分でこなし、毎日200〜300回の自転車のペダル踏みなどを行い、週1回は市内の運動公園でトレーニングに励む。最近は砲丸投げも始めた。

 聖火リレーに向け、冨久さんは医師らから細くなったと言われる筋肉を鍛えるという。「いちずに走るという気持ちで、前を向いてやっていこうと思う。使命を果たしたい」と話した。

12/18(水) 7:16配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191218-00000012-jij-soci