親子でぴったり寄り添い合う母のシンシン(左)とシャンシャン(18年3月)(公財)東京動物園協会提供
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今年6月に2歳を迎えた上野動物園(東京・台東区)のジャイアントパンダ「シャンシャン」(雌)。今も変わらぬ人気だが、2020年12月末に中国への返還期限を迎えることは意外と知られていない。シャンシャンの両親「リーリー」(雄・14歳)と「シンシン」(雌・14歳)も21年2月がレンタル期限。上野からパンダがいなくなる可能性がある。一方で、来年3月には、新パンダ舎が完成予定。さらに東京五輪・パラリンピックによる入園者数増でパンダ人気がより高まることは確実。「やっぱり上野にはパンダが必要だ!」の声が上がりそうだ。(奥津 友希乃)


 上野のアイドル「シャンシャン」の返還まで約1年となった。2017年6月に、上野動物園でリーリーとシンシンの間に5年ぶりに誕生した子パンダ。海外で生まれた子パンダは、近親交配を避けるためなどの理由から、繁殖できる年齢にさしかかると中国に返さなければならない。11年に来日したリーリーとシンシンも21年2月に10年のレンタル期間を終え、シャンシャン一家が中国に渡る日が近づいている。

 “後任”については何も発表されておらず、近い将来、上野からパンダがいなくなる可能性もある。過去にはリンリンが死んだ08年4月から、リーリーとシンシンが来日する11年2月までの間が不在だった例がある。

 出生時147グラムだったシャンシャンは、今月5日時点で母・シンシンの約1/2の64キロまで成長した。生後6か月を過ぎた17年12月から待望の一般公開が開始され、観覧抽選には応募が殺到。1日最大約150倍を超えた。シャンシャン公開は年末からだったが、17年度の入園者数は6年ぶりに400万人を超え、18年度は496万人となった。

 園によると、現在はブームも一段落。並んだ順に観覧でき、比較的人の多い休日で最大約60分待ち。パンダの動きが活発な午前中に入園し、閉園まで20回以上列に並ぶマニアも少なくない。公開からほぼ毎日シャンシャンを観覧している50代女性は「本当に美形でかわいい。理解はしているけど、中国に帰っちゃうのはさみしいですね」と肩を落とす。

 そんな中、来年3月には新パンダ舎が完成予定。建設費は約22億円で、現パンダ舎がある東園から西園に移転し、パンダと生息地が近いレッサーパンダや鳥の獣舎を含めた一帯が「パンダのふるさとゾーン」となる。パンダ舎の建て替えは32年ぶりで、面積は現パンダ舎の約2倍。繁殖能力向上や運動不足解消のため、傾斜をつけるなどの工夫がなされている。都の担当者は「山岳地帯に住んでいるパンダ本来の行動を引き出せるように、岩や倒木を設置している。登ったり渡ったりして足腰を鍛えてくれれば」と期待を寄せる。

 新パンダ舎最大の魅力は、一部エリアでガラスのない場所からパンダを観覧できること。現パンダ舎は屋内外全面ガラス張りだが、新舎は写真も撮りやすく、パンダがササを食べる音などが聞こえる可能性もある。

 20年は東京五輪・パラリンピックの開催で入園者数が増えること間違いなし。新パンダ舎と相まって、さらなるブームが起きることも考えられる。同園近くの御徒町駅前商店会の会長で、40年近く洋服店を営む高山政弘さん(58)は「パンダは上野の宝」と返還を惜しみながらも、「シャンシャン誕生からパンダTシャツを販売していますが、海外の方からとても人気が高い。来年は、五輪もあってパンダ舎も完成するので、上野を盛り上げたいですね」と意気込む。上野とパンダは切っても切り離せない関係。新たなパンダの登場を待ち望む声が日に日に高まりそうだ。

 ◆和歌山や神戸国内10頭飼育

 上野以外で現在、ジャイアントパンダを見ることができるのは2か所。和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドでは多数の繁殖に成功しており、これまでに16頭が誕生。名前に全て「浜」の文字が使われている。現在同園で暮らしているのは、1992年に中国から来日した永明(えいめい、雄)と、同園で2000年に誕生した“長女”の良浜(らうひん)、両頭の子供4頭(いずれも雌)の計6頭。また、兵庫県の神戸市立王子動物園は1995年に来日したタンタン(雌)を飼育。国内のパンダは計10頭となる。


12/22(日) 8:22配信
スポーツ報知
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