横浜市長
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横浜市は、カジノなどを含むIR=統合型リゾートの誘致を正式に表明しました。「白紙」から一転、誘致表明に転じた林市長に、市民が反発しています。一方、中野区では、中野サンプラザを含む中野駅前の再開発についても、「サンプラザを守る」と公約した区長が当選3カ月後にサンプラザ解体を表明し、区民が反発しています。なぜ、政治家の公約撤回が相次ぐのでしょうか。

■ IRは「白紙」から一転、「誘致表明」に

 横浜市は神奈川県東部に位置する神奈川最大の都市です。市区町村では唯一法定人口が300万人を超えています。しかし、財政は逼迫し、高齢者の増加にともなう社会保障費の増加が深刻な問題を引き起こしています。

 福祉と医療費の増加はとどまるところをしりません。生活保護を求める人が多いことに加えて、医療費が免除されることからさらに増えていきます。皮肉なことに高福祉の実現が福祉医療関連費用の増大を引き起こし、財政をさらに切迫させているのです。

 前回の選挙はどうだったのでしょうか?  カジノ誘致に関しては各種調査により反対が7割近くになることが明らかになっていました。選挙戦では「白紙」を公約しています。自公の支持と連合の一部、菅官房長官の後ろ盾によって3選を果たしました。

 「白紙」には新しい状態にすること。「まっさらな状態にしてやり直す」という意味があります。これはビジネスの場面に置き換えるとわかりやすいと思います。

 「当社もコスト削減が厳しいのです。条件を飲めないのであれば取引を白紙にします」

 取引先がこのように言ってきたらどうでしょうか? 条件が変更されなければ取引は中止になると考えるのが一般的です。何もなかった状態に戻るのですから。

 林市長は「白紙にすること」を公約しています。どのような前提条件が変更されたのか、誘致を正式に表明したのか説明が必要になると思われます。
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■ 記者会見で林市長はなにを話した? 

 8月22日、林市長の記者会見では次のようなやり取りがありました。横浜市が公開したテキストベースの議事録と、その様子を撮影したYouTube動画(THE PAGE)を紹介します。動画では、15分30秒過ぎから、記者の質問に移ります。そのなかで、筆者が注目したのは次の箇所です。52分35秒過ぎから記者と市長の次のようなやり取りが垣間見れます。

 記者:「市長選で『白紙』だと言ったのは間違った判断だと思わないか?」
林市長:「思わないですね。事実『白紙』でしたから」

 筆者はリゾートのことはわからないので、その是非について申し上げることはしません。しかし、この記者が次のように切り込んだらさらに踏み込んだ答えが聞けたように思います。

 前述の質問に+プラス

 記者:「林市長は、フォルクスワーゲンジャパンの社長、ダイエーの会長兼CEO、東京日産自動車販売の社長を歴任されています。フォルクスワーゲン、ダイエー、日産で『白紙』はどのような意味で使われていますか?」

 前述の質問に+プラス

 記者:「取引を白紙にするという言葉があります。『取引は中止になる』という意味です。フォルクスワーゲン、ダイエー、日産では、『白紙は継続する』という意味で使用されるのですか? これについてはどのように思いますか?」

 ビジネスの最前線で活躍されていた林市長の言葉ですから非常に重いものになるはずです。「ハマのドン」こと藤木幸夫横浜港運協会会長(89)は「山下ふ頭は我々の聖地。命を懸けて反対する」と緊急会見しています。事前の根回しなどはなかったのでしょうか? 


12/23(月) 6:45配信
JBpress  全文はソース元で
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191223-00058696-jbpressz-soci