飲食店の口コミサイトを巡り、一部の飲食店から「店の点数や表示順位の決め方が不透明だ」との声が上がっている。

 いきなり点数を下げられたチェーン店からは「客足が激減した」との悲鳴も。口コミサイトは集客に大きな影響を与える存在になっており、公正取引委員会も実態調査を始めた。

 「一斉に点数を下げられ、客が大幅に減った」。首都圏を中心に28店舗を展開する韓国料理チェーン「KollaBoコラボ」の運営会社オーナー(48)は口コミサイト「食べログ」に対する不信感をあらわにする。

 オーナーによると、今年5月、20店舗以上の点数が一斉に下げられた。5段階評価で3・4点以上あった都心部の7店舗は平均で0・36点低くなった。この影響で売り上げが前年比で4割以上減った店舗もあり、チェーン全体で採算割れに転じた。

 首都圏を中心に約40店を経営する焼き肉チェーン店の運営会社幹部も「5月に唐突に平均0・3点引き下げられた」と明かす。都内などに12店舗のレストランを展開する経営者(44)は「点数が下がった店は赤字に転落した。サイト側に電話して減点の理由を聞いたが、教えてもらえず、どう対応したらいいのかわからない」と困惑する。

 これらのチェーンでは、点数が引き下げられた際、新しい口コミの投稿はほとんどなく、サイト側が評価を見直したとみられる。

 「食べログ」の運営会社「カカクコム」(東京都渋谷区)によると、各飲食店の点数は、投稿者の点数の単純平均ではなく、経験豊富な投稿者の点数などを重視して評価する仕組みで、月に2回、更新作業をしているという。韓国料理チェーン店などの減点理由について同社は「個別の飲食店の点数変動については回答を控える」とした。

 では、具体的にどのような要素を基に点数が算出されるのか。同社は「不正な点数操作を防ぐため公開はしていない」としている。「食べログ」では過去に飲食店側が好意的な口コミの投稿などを請け負う業者に依頼し、不正に点数を上げていた事例も発覚しており、不正対策のためという。

 口コミサイトには「ぐるなび」や「ホットペッパーグルメ」などもあり、利用者の評価などを載せている。東京都中央区の飲食店主は「サイトの上位に表示されている飲食店は、好意的な口コミが多いからなのか、広告費を支払っているのかがわからず、利用者を惑わせている」と漏らす。

 ◆飲食店の口コミサイト…利用客が飲食店のサービスについて評価を書き込めるサイト。人気店を探したり、ネットで予約できたりするため利用が拡大している。2005年に開設された「食べログ」は1か月間のPV(ページビュー)が20億回に上り、最も影響力が大きいとされる。

公取委が実態調査

 飲食店の口コミサイトの影響力が増大していることを受け、公正取引委員会は9月、サイトの実態調査を始めた。調査は、サイトに掲載されている飲食店にアンケートする方式で、質問項目には「サイト上の表示順位や点数に関する不利な扱いの有無」や「点数の算出方法に関するサイト側の説明内容」などが盛り込まれている。公取委の山田昭典事務総長は10月の定例記者会見で「競争法上、もしくは競争政策上の問題があるかないか、実態を把握するため調査している」と説明した。

 ネットの検索サービスに詳しい一戸信哉・敬和学園大教授(情報メディア論)は「サイトは、口コミの評価だけでなく、飲食店から広告料を受け取って表示しており、広告収入を増やすため、故意に点数を操作しているとも見られかねない。サイトはすでに利用者の重要なインフラになっており、どのような基準で点数を付けているか、指針を示すべきだ」と指摘する。

2019年12月23日 18時2分
読売新聞オンライン
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