うどんチェーンの「丸亀製麺」は、店で使うゆで釜を中部電力(名古屋市)などと共同開発した。加熱するヒーターや、差し湯を自動調整して電力使用量を従来より3割減らせるという期待の省エネ釜だ。丸亀製麺でただ一人の「麺匠(めんしょう)」と呼ばれる社員の力と、電気をたくさん売りたいはずの電力会社が取り組む、ある戦略が組み合わさって実現した。

 丸亀製麺は国内に833店あるうどんチェーン最大手で、トリドールホールディングス(東京都)が直営している。このうち約500店で電気式ゆで釜を使っている。来客数に応じ、ヒーターの出力や差し湯の量をどれぐらいにするかのマニュアルがあるが、細かい数値は示しておらず、店舗ごとの判断に任せてきた。

■ゆで釜の使用電力が店全体の3割

 うどんは、ゆで釜の中で塩分を放出し、ゆで湯が麺に入りこむことでゆでられる。ゆで湯の塩分濃度が上がるとうまくゆでられなくなる。澄んだ水でゆでたいというこだわりを持つ従業員もいて、「差し湯も火力もじゃんじゃん使っていた」(トリドール広報)。

 現場から「もったいない」という声が上がったのをきっかけに、2018年初めに店で使う電力量の「見える化」に乗り出した。協力したのは中部電と厨房(ちゅうぼう)機器メーカーのニチワ電機(兵庫県)。ゆで釜、空調、天ぷらを揚げるフライヤー、洗浄機など店にある設備ごとにどれだけ電力を使っているかを調べた。空調の利用が比較的少ない春と秋には、ゆで釜が全体の3割超を占めていることがわかった。

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朝日新聞デジタル
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