浅草と渋谷を結ぶ東京メトロ銀座線は、来年1月3日開業の渋谷新駅舎の移設工事に伴い、12月28日〜1月2日の6日間、渋谷―表参道間と青山一丁目―溜池山王間で終日運休する。工事が理由の運休期間としては東京メトロで過去最長となる。工事は渋谷で進む大規模再開発の一環。「100年に1度」とも言われる大改造で、渋谷の街並みは変貌へんぼうしつつある。




 銀座線渋谷駅は1938年開業。1日約22万人が利用し、乗降客数は東京メトロ全179駅で8番目(2018年度)だ。ただ、駅舎は東急百貨店東横店3階内にあるため、ホーム幅が狭く、ラッシュ時は混雑のもとになってきた。

 新駅舎は現在より約130メートル東に移り、明治通りの真上に新設される。工事は2009年から始まり、16年に計4日間、18年にも計3日間運休した。今回はホーム移設や線路切り替えなど総仕上げの作業となる。ホーム幅は12メートルに広がる。

 運休期間中、銀座線は表参道―青山一丁目と溜池山王―浅草間で折り返し運転を行う。JR線などでの振り替え輸送も実施する。

 ■「ダンジョン」解消

 渋谷駅周辺では東急が主導し、JR東日本や渋谷区なども加わる大規模な再開発が進行中だ。

 12年に渋谷ヒカリエが完成して以降、渋谷ストリーム、渋谷フクラスなど駅周辺に高層ビルが次々と建設。先月には、渋谷で最も高い約230メートルの渋谷スクランブルスクエア東棟が開業した。23年度には駅南西にも複合施設3棟(最大地上39階建て)が完成予定。再開発は、東急東横店の閉店、解体後の跡地に渋谷スクランブルスクエアの中央棟、西棟が建つ27年度まで続く。

 駅周辺の動線(移動経路)は線路や国道246号で分断され、構内も複数の鉄道会社が増改築などを繰り返して複雑化しているため、「ダンジョン(迷宮)」とやゆされてきた。再開発で駅周辺を回遊できる歩道も整備されるなどし、動線は大幅に改良される見通しだ。 

■「ハチ公」移動 も


 渋谷は1990年代後半、新興のIT企業が集まり、米・シリコンバレーにならい「ビットバレー」と呼ばれた。だが、ITバブルの崩壊やオフィスの床面積の少なさなどで企業の移転が相次いだ。再開発で米グーグル日本法人やサイバーエージェントなどが集まり、往時の活気を取り戻している。

 「ハチ公広場」も、東急東横店の解体で生まれる土地を利用し、約1・6倍に広がる。シンボルの「ハチ公像」が別の場所に移動する可能性もあるという。

2019/12/27 13:04  読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191227-OYT1T50106/