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2019年12月28日

地球におい茂る木は3兆本を超えると言われており、その数は天の川の星々ですら凌駕する。

 これらの木々は、大気から二酸化炭素を吸収し、土壌を侵食から守り、水を生態系の中で循環させ、無数の生命を育む、私たち人間にとってもかけがえのない存在だ。

 幹から広がる根は、いわば植物の消化管のようなもので、周囲の土から水と栄養を交換している。また文字通りいかりとして植物を固定し、地上で高く広く成長する幹や枝葉を支えている。

 しかし、それは地球に登場した最初から今のような姿をしていたわけではなく、木がどのようにして地下の配管システムを進化させてきたのか、これまでずっと謎だった。

 だが、アメリカ・ニューヨーク州カイロ郊外で発見された3億8500万年前の森の化石がその謎を解き明かしてくれるかもしれない。

3億8500万年前のデボン紀の森
 『Current Biology』(12月19日付)に掲載された研究によると、アメリカ・ニューヨーク州カイロ郊外で発見された世界最古の森の化石は3億8500万年前のデボン紀のもので、今のほとんどの植物がそうである種子植物が台頭した時期よりも前のものだ。

 この森に残されている根の名残は、現代の木々のものとよく似ているという。つまり、根は相当に早い段階から進化し、今にいたるまで使い続けられてきたらしいということだ。

 根の化石は幹を中心に5.5メートルほど広まり、土の奥深くに潜っている。しっかりと頑丈で、複雑に枝分かれし、その先端からは繊細な細根が伸びている。

 研究グループの一員であるニューヨーク州立大学ビンガムトン校のウィリアム・スタイン氏曰く、その見た目は「驚くほど現代的」だという。

植物の世界に登場した革命的な種
 この根は知られる限り最古の木「アーケオプテリス」のものであることが判明している。

 この木は、現代のオークやメープルのような日光を浴びるにはぴったりの平べったい緑の葉を茂らせ、高く成長しやすい太く立派な幹を持っていた。

 今回はさらに、リソースを有効に使える効率的な根が備わっていたことまでが明らかになった。これら三つの特徴を駆使して、デボン紀の終わりにかけて世界中に勢力を広めたのではないかと推測されている。

 「革命です。こうした特徴の多くはより高い代謝率のサインなのですが、それらすべてがほとんど奇跡のようにアーケオプテリスに現れたわけです」とスタイン氏は説明する。

カイロの森とギルボアの森
 カイロから西に40キロの地点にあるギルボアには、これまで最古とされてきた森の化石がある。そこには現代のシダ植物に似た「エオスペルマトプテリス(Eospermatopteris)」が茂っていた。

 エオスペルマトプテリスはカイロの森にも多く見られ、かなり適応力が高かったらしいことが窺える。しかし、その根は浅く、華奢なもので、1年か、2年程度で次の世代に入れ替わっただろうと考えられている。

一方、アーケオプテリスがギルボアの森に勢力を伸ばすことはなかった。ベリー氏によれば、その理由は、深く根を張る植物にとっては少々土壌の水分が多すぎたからであるようだ。カイロの場合は定期的な乾季があったようで、そのためにアーケオプテリスは根腐れの心配なく、根を深く張り巡らせることができた。

 数十キロの距離と数百万年の隔たりがあるとはいえ、カイロとギルボアの森はかつてキャッツキル山脈をおおっていた同じ風景の一部だったのだろう、とスタイン氏は考えている。

 しかし、この地域はときおり洪水に見舞われてきた。そして特に酷いものが数億年前に発生し、カイロの森は現代の形になってしまった。
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