【モスクワ=小川知世】ロシア大統領府は29日、プーチン大統領とトランプ米大統領が電話会談し、テロ対策での連携継続で合意したと発表した。会談はロシアが提案した。連邦保安局(FSB)は同日、米国からの情報をもとにテロ行為を阻止したと明らかにした。米ロ関係が膠着するなか、テロ対策での連携を糸口に関係改善を探る狙いもあるとみられる。

米ロ首脳の電話会談が明らかになるのは7月末以来。発表によると、「相互に重要な問題」についても議論した。軍縮や国際情勢で意見を交わした可能性がある。プーチン氏は情報機関を通じたテロ情報の提供に謝意を表明した。タス通信などは会談後、FSBが米国の情報をもとにサンクトペテルブルクで新年にテロを企てたロシア人2人を拘束したと報じた。

プーチン氏は同日、ドイツのメルケル首相とも電話会談した。ロシア発表によると、ドイツ側が提案し、米国が制裁を決めた独ロを結ぶ天然ガスのパイプライン計画の支持を確認したという。

米ロ首脳は6月末に大阪で会談し、核軍縮協議の継続で合意した。ただ2021年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(START)の延長交渉の進展は鈍い。ロシアは20年5月にモスクワで開く第2次世界大戦の戦勝記念式典にトランプ氏を招き、関係改善を演出しようとしている。

2019/12/30 3:41 日本経済新聞
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