年末年始を間近に控え、故郷への帰省などで各地の空港は繁忙期に入る。豪雪地帯の青森空港(青森市)の円滑な運航、空の安全を陰で支えるのが、除雪隊「ホワイトインパルス」だ。除雪作業員120人の過半数が地元の雪を熟知した農家で構成する。冬場の収入源として、農家にとっても利点は大きい。(音道洋範)
 
 今年の除雪は11月19日に開始。12月24日までに約40回の作業を行った。通常だとこの時期までには70回ほど除雪するが、暖冬傾向で雪が少ない。

「地吹雪のときは寒さが身に染みるが、きれいに除雪された滑走路を見ると、やりがいを感じる」と語るのは、ホワイトインパルスの一員で農家の森山明彦さん(64)。夏場は黒石市で水稲3ヘクタールの栽培や養蜂を行う傍ら、5年ほど前に除雪隊に加わった。

 青森空港は1日に30センチ近く積もることもある豪雪地帯に位置している。3000メートルの滑走路と誘導路、駐機場など55ヘクタールの除雪にかかる時間はわずか40分ほど。1日約44便が離発着する中で「除雪に起因する欠航は今までにないのが強み」(青森空港管理事務所)だ。

 森山さんの担当は滑走路や誘導路脇にある灯火など保安施設の除雪。青森空港には1700灯を超える照明設備があるが、重機では除雪できないものが数多くあり、人力に頼る部分も多い。森山さんは無線で重機チームと連携を取りながら、パイロットが見やすいよう一つ一つ手作業で除雪していく。

 「ボルト一本でも大事故につながりかねない。万が一、落下物を見つけたらすぐに連絡する」と安全にも気を配る。午前5時から午後10時近くまで、交代しながらの勤務が12月から3月ごろまで続く。「多い日には10回除雪し、息つく暇がないときもある」という。

 ホワイトインパルスは約120人の作業員で構成するが、半数以上が農家だ。リンゴや稲作など、作物はさまざま。作業の合間には農家同士で「農作業の仕方などを情報交換している」(森山さん)。

 雪に園地が閉ざされることが多い北国の農家にとって、除雪は貴重な冬期間の収入源となっている。森山さんも隊に加入したことにより、冬場の出稼ぎを辞め、家族と過ごせるようになった。

 まとめ役となる福士真人隊長は「農家の協力があるからこそ活動が成り立っている」と感謝する。動画サイトでは除雪の様子を収めた動画の再生回数が17万回を超えるなど、注目度は高い。森山さんは空の安全を守るこの仕事に「誇りを持ってやっている」と胸を張る。

 北国の空港では、農家が除雪隊員として活躍している場所が多い。秋田空港(秋田市)では除雪隊を「雪戦隊なまはげ」と名付けて活動しており「80人の作業員のうち半数ほどが農家」(秋田空港管理事務所)だ。北海道の旭川空港でも農家が除雪に当たり、99・7%という高い就航率の維持に貢献している。

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