戦後75年 各地で資料館をリニューアル どう伝える戦争の記憶
2020年1月2日 15時18分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200102/k10012234071000.html

終戦から75年のことし、戦争の記憶を伝える各地の資料館では、リニューアルの動きが相次ぎます。専門家は、戦争体験者が少なくなる中、若い世代に実感を持ってもらうために展示をどう変えていくか節目の時期にさしかかっていると指摘しています。

このうち、沖縄戦で負傷兵の看護にあたり、大勢の学友を失った学徒隊の体験を伝える沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」は、16年ぶりに展示の内容をリニューアルします。

「戦争からさらに遠くなった世代へ」をテーマに、写真や展示物の説明にイラストを取り入れるほか、戦前、学校生活を楽しく過ごしていた女学生の写真を展示に加え、若い世代が戦争に巻き込まれた事実を伝えることにしています。

また、東京 江東区にある「東京大空襲・戦災資料センター」は平成14年の開館以来初めて展示内容を大きく見直します。

体験記を紹介するスペースで空襲の様子を描いた絵や地図などを併せて展示するほか、遺族への聞きとりなどで集めた犠牲者の名前や家族構成、遺影などを展示して、当時の惨状や被害の実態をわかりやすく伝えることにしています。

こうした動きについて、立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎さんは、「戦争体験者が高齢化する中、どうすれば若い世代に戦争の真実や体験の生々しさを伝えることができるのかが共通の問題になっている」として、展示を見直す節目の時期にさしかかっていると指摘しています。

そのうえで、「一人一人が戦争の中でどういう非人間的な体験をしたのかは説得力があり感性に響くものがある」として若い世代に実感を持ってもらうために、より個人の戦争体験を伝えていくことが大事だと話しています。