2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は、本能寺の変を起こして織田信長を自害させた明智光秀の物語。光秀を討った豊臣秀吉が天下統一を成し遂げるのは、日本人なら誰もが知っているが、では秀吉には指が6本あったという逸話はご存知だろうか?

 百姓の身分で生まれた秀吉には数多くのエピソードが残るが、容姿に関する特徴といえば、信長に呼ばれた「猿」とか「禿げネズミ」などのあだ名が有名だ。
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■右手親指が2本あった

しかし、あまり知られていないが、秀吉の右手には、2本の親指があったという記録がある。宣教師ルイス・フロイスが残した『日本史』では、秀吉について「片手には6本の指があった」と記されているほか、前田利家の『国祖遺言』には「太閤様には右手の親指が一つ多く、それを切り捨てなかったことから、信長様が異名として“六つめ”と呼んでいた」という記載がある。
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■昔も今も余分な指は切除する

現代の医学では、いわゆる「先天性多指症」と呼ばれる生まれつきの形成異常で、親指の隣に2本目の親指がある病気だ。前田利家の回想録にあるように、当時も今も多指症の子供は成長するまでに余分な指を切除する(機能再建手術)ものだが、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に昨年掲載された論文では、「6本指は5本指より器用で、脳神経の発達をうながす可能性がある」とされている。

英ロンドンのインペリアル・カレッジで生体工学を専門とするエチエンヌ・バーデット(Etienne Burdet)研究員は、形成手術を受けずに成長した17歳の少年と、同じく多指症の52歳の母親を対象にMRI検査を実施し、ビデオゲームをしたり、靴紐を結んでいるときの指の動きと脳の活動領域について調べた。

その結果、5本指の被験者13人が両手を使って靴紐を結ぶところを、6本指の人は片手でこなしたり、パソコンのキーボードをタイプするのが早いなど、素早く複雑な動きを行えることが判明。さらに6本目の指だけを単独で動かすよう脳が筋肉に指令を出していることもわかった。

バージェット研究員は「私たちが暮らす社会は、5本指の人のためにデザインされているものばかりで、多指症の人には単純すぎます。多指症の人が食事する際、フォークやナイフの持ち方をいろいろと変えて、さまざまな食べ方を楽しんでいるのを見ていると、5本指の自分がひどく不器用だと劣等感を感じるほどです」と話している。

 秀吉が貧しい身分から信長に取り立てられ、天下人にまで昇りつめた影には、人より指が多い分、なみはずれて器用だったこともあるのかもしれない。
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■動画
See how some people born with six fingers per hand easily control the ex...
https://youtu.be/Q4Nat_uxO4I

ハザードラボ
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