JR東海は、東海道新幹線の弱点とされてきた雪への対策を進めている。車両への危険な着雪を少しでも抑えようと、雪の状況をリアルタイムで伝えるカメラを新たに運転席に設置。徐行区間や速度を状況に応じ細かく設定し、遅れの抑制と安全の両立を目指す。
 米原―岐阜羽島間の関ケ原周辺は11メートル超の積雪記録がある伊吹山も近く、国鉄時代から雪対策に苦心してきた。高速走行する新幹線は、車両から落ちた雪が線路の砂利を跳ね上げて車両や周辺の設備を損傷する恐れがあり、車両への着雪が1番のリスクとなる。
 降雪時には、運行を管理する総合指令所(東京)が沿線の観測装置の情報や現場を走行する運転士の報告から徐行区間や速度を決定し、周辺を走る列車に指令を出す。特に見極めが必要なのが雪質で、走行時の風で舞い上がり車両に付着しやすい乾いた雪は要注意となる。雪質により徐行速度が変わることもあり、遅れの幅を左右する。
 今回50編成の運転席に設置されたカメラは、口頭報告に変わり詳細な雪の状況を映像で指令所に伝える。一部の編成では雪が付着しやすい床下をカメラで監視するほか、先頭車両床下にヒーターを付けて着雪防止の検証を進める。線路の雪を湿らせて飛散を抑えるスプリンクラーや、始発前の「露払い」として後続列車の着雪を抑える回送列車の運行など、以前からの取り組みと合わせ、今冬も雪との闘いに備える。
 雪が最も多かった国鉄時代の1976年度は、雪で遅れが生じた規制日数は60日、1列車当たりの平均遅れは20・2分で、635本が運休した。当時は遅れを前提に運行本数を間引いて影響を抑えるダイヤも実施されたという。
 降雪量の減少もあり、2018年度は規制日数6日、平均遅れは5・6分だった。一方、同新幹線の1日の運転本数はJR発足時の1日231本から373本に増加。現在は「のぞみ」が1時間に最大10本という密度で、徐行がダイヤに与える影響は増している。JR東海は「きめ細かく、タイムリーに徐行区間や速度を設定し、徐行の判断をより適正化したい」としている。

1/3(金) 21:15配信
京都新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200103-00210147-kyt-l25
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200103-00210147-kyt-000-view.jpg