日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が保釈条件に違反して海外逃亡したとされる事件で、東京地検は5日、「逃亡は我が国の司法手続きを殊更に無視し、犯罪に当たる行為で誠に遺憾だ」とする声明を出した。地検が元会長の逃走についてコメントを出すのは今回が初めて。

地検は一連の捜査、公判準備が「法に定められた適正手続きを厳格に履行し、元会長の権利を十分に保障して進められていた」と主張し、「(逃走は)自らの犯罪に対する刑罰から逃れようとしたというにすぎず、行為が正当化される余地はない」と非難した。

ゴーン元会長は2019年12月31日に公表した声明で「差別がまん延し人権が侵害されている」と日本の司法制度を批判。「私は裁判から逃れたのではなく、不公平さと政治的な迫害から解き放たれた」と訴えていた。

海外逃亡を巡っては、東京地検が出入国管理法違反(不法出国)容疑で捜査している。警視庁にも協力を求め、防犯カメラの映像を解析するなどして出国に至った経緯の特定を急ぐ。

2020年1月5日 11:03 日本経済新聞
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