https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200105/k10012235841000.html


ゴーン被告出国 検察が異例コメント「正当化の余地ない」
2020年1月5日 14時39分ゴーン前会長
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中東のレバノンに出国した日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告について、東京地方検察庁は5日、「国外への逃亡は我が国の司法手続きをことさらに無視し、犯罪に当たり得る行為で正当化される余地はない」などと厳しく批判するコメントを出しました。検察が捜査中の事件の被告についてコメントを出すのは極めて異例で、迅速に捜査を行い元会長の逃亡の経緯を明らかにするとしています。

海外への渡航が禁じられていた日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(65)は先月30日、中東のレバノンに入国し、東京地方検察庁などは不正な手段で出国したとして出入国管理法違反の疑いで捜査しています。

これについて東京地検の齋藤隆博次席検事は5日コメントを発表し、「ゴーン被告が、正規の手続きを経ないで出国し逃亡したことは我が国の司法手続きをことさらに無視したもので犯罪に当たり得る行為だ。必ず出頭するとの誓約を破り、みずからの犯罪に対する刑罰から逃れようとしたにすぎず、その行為が正当化される余地はない」と元会長を厳しく批判しました。

ゴーン元会長は出国後に「有罪が前提とされ、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなる」などとする声明を発表しましたが、齋藤次席検事は「我が国ではすべての被告に公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける権利を保障している。検察は公平かつ適正な刑事裁判を実現すべく法の手続きに基づいて公判活動を行ってきておりゴーン被告の権利が十分に保障されていたことは明らかだ」と主張しています。

検察が捜査中の事件の被告についてコメントを出すのは極めて異例で、関係機関と連携して迅速に捜査を行い元会長の逃亡の経緯を明らかにするとしています。

東京地検コメント全文

東京地方検察庁の齋藤隆博次席検事が出した「ゴーン被告の国外逃亡について」というコメントの全文です。(以下、コメント全文)

今般、被告人カルロス・ゴーン・ビシャラが、保釈の指定条件として、逃げ隠れしてはならない、海外渡航をしてはならないと定められていたにもかかわらず、正規の手続きを経ないで出国し、逃亡したことは、我が国の司法手続きを殊更に無視したものであるとともに、犯罪に当たり得る行為であって、誠に遺憾である。

我が国の憲法及び刑事訴訟法においては、例えば被疑者の勾留は、厳格な司法審査を経て法定の期間に限って許されるなど、個人の基本的人権を保障しつつ、事案の真相を明らかにするために、適正な手続きが定められている。

また、我が国においては、全ての被告人に、公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける権利を保障しており、検察官によって有罪であることにつき合理的な疑いをいれない程度の立証がなされない限り、被告人を有罪としてはならないこととされている。
(リンク先に続きあり)