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広がる地方公務員の副業 人手不足で年4万件超
2020年01月06日07時03分


 人手不足を背景に地方公務員の副業が広がっている。副業には自治体の許可が必要だが、総務省によると、2018年度の許可件数は全国で4万1669件に上る。社会貢献につながる副業をしやすいよう環境整備を進める自治体もある。


 地方公務員が営利企業で働いたり、報酬をもらって事業をしたりすることは法律で原則禁じられている。自治体が認めれば副業を行えるが、許可の基準が明確ではないケースがあり、二の足を踏む職員が多かった。

 ただ、人手不足や働き方改革を受け、近年は地方公務員が地域活動に参加することが期待されている。このため、どのような条件で副業を認めるかを示した基準をつくり、職員の活動を促す自治体が相次いでいる。

 総務省の調査によると、18年度に許可された副業のうち、社会貢献活動は1万1506件。伝統行事や防災・防犯活動、スポーツや文化芸術活動の支援が代表的だ。それ以外の農業や不動産賃貸、家業の手伝いなどは3万163件だった。

 社会貢献につながる副業をいち早く促したのが神戸市だ。17年4月から報酬をもらう地域活動への参加を後押しする制度を始めた。5年以内に副業先との契約に関する業務をしていないことが主な条件。これまで15人が須磨海岸での障害者支援や、古民家活用の調査などを行った。市の担当者は「地域の役に立ちたいという意欲がある職員にはどんどん利用してほしい」と呼び掛ける。

 北海道鹿部町は19年11月、副業を認める基準を明確化した。公共性の高いものが対象で、人手不足が進む基幹産業のホタテ、コンブ漁の手伝いなどを想定。町外出身の職員が多く、現場を体験することで地域に根差した人材の育成につなげる狙いもある。町の担当者は「地域課題に直接触れ、その経験を普段の業務にも生かしてもらえれば」と期待している。


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