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責任能力めぐり応酬 検察側「計画的犯行」―弁護側は「人格変容」・相模原殺傷
2020年01月08日20時31分

 相模原市の障害者施設殺傷事件で殺人などの罪に問われた植松聖被告(29)の初公判では、被告の責任能力をめぐり、検察、弁護側の主張が鋭く対立した。弁護側は、大麻乱用の影響で人格が変容したと訴えたが、検察側は犯行の計画性を強調し、完全な責任能力があったと指摘した。


 双方の冒頭陳述によると、植松被告は津久井やまゆり園で勤務を始めた当初、「障害者はかわいい」と周囲に話していた。しかし3年ほどたつと、「意思疎通できない人は安楽死した方がいい」「自分は選ばれた人間」などと発言するようになった。

 弁護側は、人格変容の背景に薬物乱用があったと指摘。大学進学後にハーブを使い始め、園での勤務を始めてからは大麻を「多いときは1日数回」のペースで使用したとし、「大麻精神病などで善悪を判断する能力や、行動を制御する能力がなかった」と訴えた。

 これに対し検察側は、「大麻は犯行の決意を強めただけ」と主張。大麻使用による精神障害があったことは認めたものの、「勤務経験などを踏まえ、特異な考えが形成された」と影響を否定した。

 さらに、裁判員らに対し、責任能力の有無を判断するポイントとして、「動機が形成された経緯が理解可能」「違法性を認識していた」など五つの点を列挙。犯行前にジムで体を鍛えたり、自分の考えを信用してもらうために美容整形を受けたりした上、園から逃走した後、自ら警察署に出頭したなどの事実関係に着目するよう訴えた。

 刑法は、心神喪失者の行為は罰せず、心神耗弱者の行為は刑を減軽すると定める。今後の公判では、精神鑑定を担当した医師の証人尋問などが行われ、責任能力の有無や程度が判断される見通しだ。