■家族に黙ってデリヘルの仕事を始めた

 地方都市では、玲美さんのように「義実家という名の牢獄」に閉じ込められている女性は決して少なくない。

 三世代世帯には、ひとり親世帯に比べて安定したイメージがあるが、決して貧困に陥るリスクが低いわけでは
ない。三世代世帯の子どもの貧困率は核家族世帯よりも高い、と主張する研究者もいる(阿部彩・鈴木大介『貧困
を救えない国 日本』PHP新書)。

 そうした中で、玲美さんは2年前から風俗の仕事を始めた。きっかけは、当時勤めていた保険会社で出会った女性
からの紹介。彼女はS市内にあるぽっちゃり専門店のデリヘルで働いており、玲美さんの家庭の事情も知っていたので、
「嫌かもしれないけど、稼ぎたいのであれば、こういう仕事があるよ」と勧められた。

 「ちょっとでも稼げるんだったら……」と思い、いやいやながらデリヘルでの勤務を開始。知り合いの女性の働いて
いる店の姉妹店である人妻・熟女デリヘルで働き始めた。30〜50代の女性が在籍しており、料金は90分1万5000円。
S市では安い価格帯に入る。

 出勤は週5日、10時半から17時まで。夜は17〜21時。働いている間、子どもは義父
母に見てもらっていた。

 「休みの日があると、義父母から『なんで働かないんだ』と嫌味を言われるため、ほぼ毎日出勤していました。風俗で
働いていることはもちろん告げずに、普通にレジの仕事で働いている、と伝えています」

 この仕事で稼いで、ちょっとでも貯金したいと思ったが、子どもが3人いるとなかなか貯められない。