元米軍に元英軍、さらにはトルコの航空会社、日産のカルロス・ゴーン元会長の密出国劇を手助けしたネットワークの国際性が明らかになるなか、ゴーン元会長は、レバノンを除く世界の国々を敵に回し始めたことに気付いているだろうか。なかでも元米軍グリーンベレーの男は米国で服役した経験も持つ、いわば「米政府の敵」だ。その正体を探ると、ゴーン元会長をめぐる人脈の薄気味悪さもみえてくる。

なぜゴーン氏は「特殊作戦」のエキスパートと繋がった?

 男の名は「マイケル・テイラー」。英米圏で最もありふれた名前と名字の組み合わせの一つだろうが、その名前を持つ人物が、ゴーン元会長が脱出したのと同じ航空機に搭乗したことが判明した瞬間、一部の人は、それがどの「マイケル・テイラー」か、見当が付いたはずだ。こうした「特殊作戦」のエキスパートの世界では知られた男だからだ。

テイラーの妻はレバノン人

 ゴーン元会長は大型荷物のX線検査ができない関西国際空港のプライベートジェット用の出国審査を、大型の音響機器用ボックスに潜り込むことですり抜け、トルコ経由で祖国レバノンに出国した。その一連の動作を同乗しながら指南したとみられているのがこの男だ。

 法廷資料や過去の報道によると、1960年生まれのテイラーはグリーンベレーとして知られる米陸軍特殊部隊に所属し、その後は米連邦捜査局(FBI)への情報提供者として麻薬組織に関与。またアフガニスタンやレバノンなどで現地兵の訓練に携わるなど、多彩なキャリアを積んできた。レバノン時代に出会って結婚した妻はレバノン人だ。

 安全対策のコンサルタントとしても活躍しており、過去には米フォックスニュースのインタビューに応じ、空港の安全対策の不備について言及していたというから、今回の密出国にこれほど適任な人材もいなかっただろう。

《リスク評価、複雑なリスク軽減などのあらゆるサービスを、最も困難な状況下でも提供する会社です》

 CEOを務める「アメリカン・インターナショナル・セキュリティー」の削除されたホームページには、そんなうたい文句が掲げられていた。

 テイラーの名が一気に高まったのは2008年のこと。ニューヨーク・タイムズの記者がアフガニスタンでタリバンの人質となり、米政府が救出しあぐねていた際に同紙と人質奪還の契約を結び、実際に記者が脱出に成功したからだ。ただ、記者自身は自力で脱出したと報告しており、テイラーが実際にどこまで関与したかはいまだに謎に包まれている。

 テイラーには他の米国人家族に人質奪還を持ちかけ、実質的な成果を上げないまま、その家族に著書で騙されたと糾弾された経験まであるから、なおさらだ。

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ゴーン元会長は米国の上場企業勤務を10年間禁じられている

 ただ、そんな星条旗を騙した男を利用したゴーン元会長を各国政府や当局が見る目は、いっそう厳しくなるとみていいだろう。

 すでに米証券取引委員会は、東京地検特捜部による逮捕後に日産とゴーン元会長に対し1.4億ドル(150億円)の報酬を隠したとして告発し、日産から1500万ドル、ゴーン元会長から100万ドルを受け取ることで和解を済ませたが、この過程でゴーン元会長は米国の上場企業に勤めることを10年間禁じられている。米国ではのけ者扱いなのだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200109-00025073-bunshun-int&;p=2

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