2020年1月10日 

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レオパレスは虚偽の建築確認申請などの不正を受け深山英世・前社長(左から2番目)を含む経営陣が19年6月に刷新されたばかり(写真:共同通信)


 レオパレス21の大株主で「物言う株主」として知られる村上世彰氏が、全取締役の解任を求め臨時株主総会の開催を請求した。臨時株主総会は2月下旬から3月上旬に開かれる見通しだが、上場企業にとってこのような事態はもはや他人ごとではないかもしれない。「株主ガバナンス」とも言える動きは着実にすそ野の広がりを見せているからだ。

 レオパレスは1月6日、臨時株主総会の基準日を1月24日に設定すると発表した。村上氏の開催請求を受け、1月24日時点の株主は2月下旬〜3月上旬に開かれる見通しの株主総会で議決権を行使できる。会社側が開催しない場合、村上氏側が裁判所に申し立て許可を得れば株主として臨時株主総会の開催権を持つことになるだけに、会社側も開催自体は認めざるを得なかったとみられる。

 勝負の行方はまだ分からないが、レオパレスにとって厳しい戦いになる可能性がある。村上氏側の持ち株比率は14.46%(2019年12月11日時点)。このほか、現経営陣に不満を持っているとされる英運用会社オデイ・アセット・マネジメント、国内運用会社のアルデシアインベストメントもそれぞれ同規模の株を保有しているとされ、この3株主だけで議決権の40%以上を押さえている。議決権行使比率を考慮すると、オデイとアルデシアが解任に賛成した場合、会社側が勝つ可能性は限りなく低くなる。

 大株主からの「クビの宣告」はこの1年で急増している。19年は、デサントの石本雅敏氏が筆頭株主の伊藤忠商事との敵対的TOB(株式公開買い付け)騒動を経て社長の座を追われた。LIXILグループのトップだった潮田洋一郎氏も、コーポレートガバナンス(企業統治)に問題があるとして複数の株主からレオパレス同様に臨時株主総会での解任を請求され、事実上引退に追い込まれた。乾汽船は筆頭株主の投資会社に乾康之社長の取締役解任を求められ19年11月に臨時株主総会を開いたが、なんとか株主側の要求を退けた。

 これらは株主の要求が表面化した事例だが、水面下では多くの上場企業に対して同様の要求が繰り広げられている。村上氏も昨年、レオパレスの経営陣に対し会社が実効性のあるガバナンス改善策を打ち出せなければ全取締役の解任を要求すると事前通告していた。会社側が満足のいく対応をしなかったとして強硬手段に出たため、事態が公になった。だが表面化こそしていないものの、同様に事前に解任請求をちらつかせ、会社側に変化を求める株主は確実に増えている。

 解任要求が可決されるか否決されるか以前の問題として、世間体を気にしこうした要求が公になること自体を恥だと考える経営陣は多い。そのため株主に一定の譲歩をしておおっぴらに解任請求される事態を避けた企業や、解任される前に別の理由でトップが自ら身を引いた事例もある。

 こうした株主ガバナンスの流れが加速している背景には、日本でガバナンス改革が進み、株主が声を上げやすくなり、しかもその声が「持ち合い解消」や「積極的な議決権行使」の浸透で通りやすくなったことがある。だがそれだけではないかもしれない。多くのアクティビストファンド(物言う株主)は、「この流れをいい機会と捉え、日本の特徴とも言える『取締役ゴール』を招く仕組みを変えたい」(香港のアクティビストファンド)と考えているからだ。どういうことか。https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/011001013/
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