浜名湖で異常繁殖し、漁業への被害が問題になっている海藻のアナアオサを染め物に活用する官民共同プロジェクトが、浜松市で始まった。アナアオサから抽出する淡い緑色を「アオサライトグリーン」と命名。地元の漁業者らが懸命に駆除している“厄介もの”から染料を創り出し、特産の遠州綿織物などを色付けして地域活性化につなげる。
 草木染工房のファブリック鈴忠(同市東区)と東京のデザイナー、市産業振興課が2019年度からプロジェクトをスタートさせた。関係者が夏に浜名湖でアナアオサの駆除を体験し、19年11月に情報を発信して賛同者を募るホームページを立ち上げた。同課の担当者は「浜松の繊維産業の振興を図るとともに、子供向けの環境教育や体験会にも役立てたい」と話す。
 プロジェクトは同工房を経営する鈴木忠和さん(77)が18年11月、浜松商工会議所の新商品開発支援事業で帽子やバッグ、ハンカチ、ストールなどを製品化したのがきっかけ。市の仲介でファッションデザイナーらが所属するクリエーター集団「スポイト」(東京)が加わり、鈴木さんが染めた布を使ってシャツやコートをデザインした。
 使用する生地はすべて遠州産の綿織物。和紙や陶器、家具、照明器具なども色付けできないか試す方針で、スポイト共同代表の西田悠亮さん(30)は「染める品物を増やし、アオサライトグリーンを生活の隅々に広げたい」と意気込む。
 アナアオサを煮立てて染料を抽出する作業を担当する鈴木さんは「アナアオサは色素が少ないため、乾燥方法を試行錯誤して色を引き出した。浜松発の新しい色を多くの人に知ってほしい」と呼び掛けている。

 <メモ>アナアオサ 主に沿岸部に生息する緑色の海藻。大量繁殖すると漁船の往来妨害になったり、漁網が絡んだりする。打ち上げられて腐敗すると、悪臭が漂う。海水と淡水の混じる汽水湖の浜名湖ではアナアオサに覆われたアサリが窒息死する被害も深刻化している。オサ

(2020/1/14 17:01)
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