25年前の阪神・淡路大震災は、日本中に衝撃を与えた。燃え広がる市街地から上がる黒煙、線路が曲がり脱線した電車、横倒しになった高速道路……。マグニチュード(M)7・3の大地震は、神戸市を中心とした地域に、甚大な被害をもたらした。


 地球の営みとしてはわずか十数秒のできごとだった。だが、地下の岩盤が高速でずれ動く現象が都市の直下で起これば、いかに悲惨で深刻な災害が起きるかを知らしめた。

 もし、人、財産、政治、経済の機能が極度に集中した首都圏の直下で、こうした大地震が発生したらどうなるのか。

 関東は地下で三つのプレートがせめぎあう世界的にも珍しい複雑な場所だ。陸のプレートとフィリピン海プレートとの境界付近、フィリピン海プレート内部、フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界付近、太平洋プレート内部など、どこが震源になるかはわからない。政府の地震調査委員会は、南関東でM7級の地震が今後30年間に発生する確率を70%と予測している。

■41万棟焼失、経済被害は95兆円…

 国の中央防災会議が2013年に公表した首都直下地震の被害想定でも、さまざまな震源域を仮定している。都心南部でM7・3の地震を仮定した最大の想定では、南関東の1都3県が震度6弱以上の揺れに襲われ、17万5千棟が倒壊、7万2千人の救助が必要になる。同時多発の火災で消防力が不足、さらに倒れた建物で交通が渋滞し、消火活動は妨げられ、焼失建物は41万棟。2万3千人が犠牲となる。800万人の帰宅困難者が出るほか、断水、停電により、避難者は720万人にふくれあがる。経済被害は約95兆円。政治経済は混乱し、影響が全国に及ぶことは避けられない。こんな想定だ。

 首都圏は、1923年に約10万人が犠牲になった関東大震災を経験している。当時は複雑な交通網、超高層ビル群、拡大した埋め立て地や盛り土、コンビナートなどはなかった。現在のように膨れあがった巨大都市で地震が起これば、これまで経験したことのない被害が出ると予想される。

■「人口集中の東京こそ備えを」

 東京大地震研究所の平田直教授は「M7級の地震は日本周辺で年に1回くらい起こる。ちょうど大都市の直下で起こる確率は低いが、起これば阪神・淡路大震災のような災害になる。人口が過度に集中した東京で何が起こるかは明らかだ。もっと備えなければならない」と言う。

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1/17(金) 11:33配信
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